WordPressで小説サイトを作っても、成功するケースは二通りしかありません。
その理由を、分かりやすくご説明します。
知らないものは、存在しないのと同じこと
まず、サイト運営にあたって、一番重要なのは、Googleを主とする検索エンジンの仕組みを理解することです。
ユーザーの9割は『Google Search Engine』を利用していますので、実質、サイト運営とは『Google対策』といっても過言ではないです。
つまり、Google検索エンジンに認知されないものは、「ネット上に存在しないのと同じこと」。
あなたがどれほど必死に良質なコンテンツを作っても、Google検索エンジンに認知されなければ、インデックスもされないし、誰かが検索することもないんですね。
たとえば、『岡町』という所に、『ラーメン大王』というラーメン店を新装開店したとしましょう。
売りの塩ラーメンも絶品で、知人の誰もが「日本一だ」と褒めてくれます。
しかし、「岡町のラーメン大王」など、誰も知りません。
知らないものは検索しないし、検索されないものは、Googleにとっても無価値とみなされます。
そこで、SNSで必死に宣伝して、町内にチラシを配って、地元のグルメ雑誌にもお金を払って広告を掲載してもらう。
そうして、初めて、『ラーメン大王』という名前が知られるようになり、ぼちぼちとお客さんが来るようになります。
WordPressの小説サイトも、それと同じです。
どれほど素晴らしい小説を書いても、まず存在を知ってもらわねば話になりません。
しかも、ネット上には、無料で読めるコンテンツが山のようにあり、どこの誰が書いたかも知れない、無名作家の作品に、いちいち足を止めて、読む人など皆無です。
小説でも、ラーメンでも、知らないものは、存在しないのと同じことなんですね。
検索エンジンとはユーザーの質問に答えるサービスである
でも、Googleがあるじゃないか・・・と思うかもしれませんが、Googleとはネットの電話帳と同じ。
ユーザーの質問に答えるサービスであり、読み物を提供するプラットフォームではありません。
皆さんも、小説について検索するなら、『おすすめファンタジー』『無料で読める』『ちくま文庫の新刊』みたいなキーワードで検索すると思います。
あなたがどれほど必死に「魔法少女メリー・ポッター」や「宇宙戦士マンダム」の小説を書いても、知らないものは誰にも検索されないし、検索されないものは、ネット上では存在しないのと同じことです。
その点、「ハリー・ポッター」や「機動戦士ガンダム」みたいに、誰もが知っている作品なら、検索回数も多く、二次創作がヒットすることもあります。
ハリー・ポッターや人気アニメのネタなら誰もが興味あるからです。
しかし、オリジナルの詩やエッセイ、小説には、大勢が知りたい答えはありません。
たとえば、あなたが「春の小川」という題名で、「春のうららの美しい川が・・・」みたいな美しい詩をWordPressに掲載しても、検索エンジンには無視されるでしょう。
なぜなら、その中に、大勢が知りたい答えはないからです。
皆が知りたいのは、「春の小川の、どこ川だっけ?」という答えであって、あなたの詩が読みたいわけではないです。
もし読まれるとしたら、コクトーや北原白秋や谷川俊太郎みたいな、誰もが知っている有名人の詩であって、無名の人間の書いた詩など、軽く読み飛ばされて終りなんですね。
ネットの「良質なコンテンツ」と創作は違う
一般に、ネットで評価される文章とは、「フィルターの掃除の仕方」とか「夏のおすすめ旅行」とか「007シリーズの見どころ」といった、ユーザーの質問に対し、的確に答えを返す文章です。
フィルターを掃除する手順は、こう。
夏のおすすめ旅行は、ここ。
007シリーズの最高傑作は、これ。
その答えに、ユーザーが納得して、「役に立った」と思う。
それがネットにおける「良質なコンテンツ」であって、文章の美しさや叙情性などは全く関係ありません。
単純に、ネットでPVを稼ぎたければ、「人が知りたいと思うこと」を書くのが一番で、文章力の問題ではないんですね。
それに対して、創作は、奇抜さや叙情性で競うものですから、ネットとは真逆です。
喩えるなら、電話帳にポエムを掲載するようなものです。
引っ越し屋の電話番号を探しているのに、突然、ポエムが出てきても、誰も見ないでしょう。
WordPressの小説サイトも、それと同じ。
多くの検索ユーザーにとって、小説サイトなど無価値なんですね。(人気作品が無料で読めるなら別ですが)
初心者にはWordPressより小説投稿サイトがおすすめ
知名度ゼロから始めるなら、初心者には小説投稿サイトがおすすめです。
「小説家になろう」も「カクヨム」も、「無料の小説が読みたい」という明確な意図をもった人が大勢集まるので、誰かの目に留まる機会は格段に高いです。
喩えるなら、コミケのブースに出品するようなもの。
あちこち回るのが好きな人なら、いろいろ見てくれるでしょう。
対して、WordPressを運営するのは、東京駅前でチラシを配るようなものです。
同じように東京駅に訪れても、買い物に来た人、これから出張に出掛ける人、目的も様々です。
そうした人々に、手の込んだチラシを配っても、興味がなければ、ぽいとゴミ箱に捨てて終わりでしょう。
1000人にチラシを配って、一人か二人、興味を持ってくれたら、それで良しとする。
大変厳しい世界です。
それよりは、小説を読みたい人が大勢集まってくる、小説投稿サイトで頑張った方が、手応えは大きいと思います。
WordPressを運営するのは、ファンが付いて、活動が安定してからでも遅くはありません。
大人は決して本当の事は言わない
WordPressにしても、小説投稿サイトにしても、「いますぐ、作品を発表しよう。人気者になろう」と呼びかけるキャッチコピーは多いですね。
皆がこぞってブログを愉しんだ10年以上前ならともかく、今はSNS、しかも動画&イラストがメインで、テキストはびっくりするほど読まれないものです。
にもかかわらず、WordPressやろう、やれば人気者になれるぞ、みたいに煽るのは、カモ狩りが目的だからです。
小説投稿サイトにしても、これだけ似たようなサービスが林立して、読む人より書く人の方が圧倒多数の現状で、一人あたり、どれぐらいPVを稼げるのか、まだWordPressで漫画レビューでもやった方がマシなレベルです。
でも、運営者は、そんな不都合な現実は絶対に言わない。
何故なら、小説家になりたい人が、どんどんアカウントを開設して、ログインして、サイト内を巡回してくれたら、それだけでPVが稼げるし、文章教室や新刊の広告を出せば、中には購入してくれる人もあるでしょう。
運営者にとっては、利用者が多いほどコスパがいいし、中身は二の次なんですね。
分かりやすく言えば、「読みたい人」より、「小説家になりたい」というワナビーを相手に商売する方が儲けが大きいということです。
それでも自分が楽しければ、深く考えずにやればいいけど、ワナビーに夢を持たせて、金儲けに利用するのも、罪深いと思うことしきりです。
それがイヤなら、完全に独立して、自力で頑張ることです。
独立系作家にもメリットはある
「一人で活動している」と言うと、まだまだネガティブなイメージがありますが、独立系で頑張っている人もたくさんいます。
漫画や二次創作の同人誌でも、一人で描いて、一人で製本して、一人でコミケに持ち込んで、その根気と情熱に頭が下がるほどです。
世間一般には、同人系、独立系=負け組のイメージが強く、「レベルが低いから、同人誌でやらざるを得ない」みたいに思ってる人も少なくないですが、独立系にもメリットはあります。
どこの組織とも無縁なので、絶版もなければ、打ち切りもありません。
スポンサーに忖度して、内容を書き換える必要もなければ、タブーとなる題材もありません。
文字通り、好きに作って、好きに売ることができます。
ネットやKindleがある限り、あなたのコンテンツも永久に存在し続けるし、絶版や連載終了を心配する必要もありません。
一時期、話題になっても、数十年後には絶版になって、完全に市場から消えてしまう作品もたくさんある事を思えば、ネットで独立して活動するメリットも分かるのではないでしょうか。
人間、死ぬ間際には、どれだけ読まれたかより、「何を書いてきたか」の方がずっと重要になります。
アクセスや評判ばかり気にして、書きたいことも書けず、話題作りのために他人を貶めるような事や二番煎じみたいな事を必死にやっても、自分で自分を貶めるだけですよ。
作品の核となるテーマを持とう ~テーマ探しは自分の生き方を決めること にも書いているように、 「何について書くか」を考えることは、自分の生き方を決めることです。
どうせ書くなら、真剣に書きましょう。
小説を書くなら、最高の品質を目指そう
私が青春時代に親しんだ本の多くは、絶版になっています。
昭和の頃、大人気だった作家も、令和の時代にはすっかり忘れ去られて、話題にもなりません。
その中で、時代を超えて、読み継がれる本があります。
それは、どんな作品か、一度、じっくり考えてみて下さい。
そして、あなたが、そういう作品を書けば、それはネットと共に永久に残ります。
WordPress(あるいはKindle)で小説を公開する最大のメリットは、それです。
あれこれ考えるより、まず書こう。
そして、書くと決めたなら、最高の品質を目指しましょう。
最大の読者は、あなた自身です。
いかなる時も、自分自身を欺くことなく、書くことを楽しみましょう。