プロット VS キャラ立ち ~キャラとの一体化が説得力になる

ファンタジー フェアリー
記事について

執筆する中でキャラクターの性格が明確になれば、最初のプロットと違ってくることもあります。
プロットに拘れば、無理に話を推し進めて破綻します。
読み手をどこまで納得させられるかは、自分自身がどこまでキャラクターと一体化できるかにかかっています。

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キャラとの一体化が説得力になる

作家の中には、細部までプロットを決めてから執筆する人もありますが、私は小池一夫氏が提唱する「キャラが立つ」の考え方で、最終的にはキャラに任せて、好きなようにさせるタイプです。

物語を展開するのは作者の理想ではなく、キャラクターだからです。

たとえば、執筆前に「主人公とヒロインは『ロミオとジュリエット』みたいに心中する」というプロットを立てていても、キャラの気持ちが分かってくると、「必死に生きる恋人たちが、そんな簡単に市を選ぶだろうか」という考えに変わってきます。

執筆過程で世界観が完成され、キャラと一体化すれば、自分の理想より、キャラの感情や価値観の方がはるかに優るからです。

その際、「何が何でも、この結末で」と最初のプロットに拘ると、物語も破綻しかねません。

自分では、それが正しい終わり方でも、読者から見れば、まるで納得いかないからです。

創造物とはいえ、キャラクターも生き物です。

執筆前は、おぼろげにしか分からなかった性格が、書いている間にだんだん鮮明になり、思いがけない行動に出ることもあります。

それがキャラ立ちの面白さであり、本当に面白い物語は、キャラの性格が際立つんですね。

そうなると、最初に定めたプロットが邪魔になることもあり、そこで路線変更できるか否かで、話も大きく変わってきます。

創作において、どこまでキャラと一体化できるかは死活問題であり、一体化できない設定はどこか無理があるんですね。

たとえば、自分がジャンヌ・ダルクみたいな戦う少女が好きだからといって、小説のヒロインもジャンヌみたいな少女でいい、とはなりません。

話によっては、時代に翻弄される受け身のヒロインの方が際立つこともありますし、少女ではなく、少年の方がストンと話に収まることもあります。

にもかかわらず、「戦う少女」という設定に拘って、強引に話を推し進めれば、「前の展開で、敵国とは和解したのに、なんでまた自分から戦を仕掛けるような事をするの」と違和感を覚えたり、無駄に戦闘シーンが増えたり、作者の自己満足に陥ってしまうんですね。

物語というのは、頭で作っているうちは、本物ではないです。

キャラの台詞は、自分の台詞。

一挙一動が自身と同化して、初めて説得力を持ちます。

自分自身がキャラの邪心や正義感を理解してないのに、どうして読み手の心を動かすような台詞や行動を生み出すことができるでしょうか。

説得力のないものは、ただの自己満足でしかありません。

プロットを自我に喩えるなら、キャラは超自我の世界です。

キャラと一体化すればするほど、想定外に面白いものが出来上がるのです。

書けば書くほど勢いがつく理由 ~潜在能力を掘り出そう

心理学でよく言われることですが、一般に人が『意識』と呼ぶものは、海面に見え隠れする表層だけ。

水面下の方がはるかに大きいです。

「書く」という行為は、水面下に沈んだものを掘り起こす作業でもあり、多くの人が書くことで癒やされたり、納得したりする所以です。

創作もそれと同じ。

たとえ、実際に会社経営などしたことがなくても、キャラと一体化することで、経営に必要な手法や理念が見えてきます。

それは、「勉強したから分かる」のではなく、「元々、分かっていたこと」に経営者のキャラがぴたりと一致するからです。

PCの好きな人がスティーブ・ジョブズの言葉に心惹かれるのは、自分の中にも同じ部分があるからで、元からPCに興味のない人やまったく違う考えをもつ人には響きません。

言い換えれば、どんなキャラも自分の分身であり、似た部分があるから、社長でも、国王でも、どんどん書き進めることができます。

最初は漠然としたイメージでしかなかったものが、次第に輪郭を取り、具体化する中で、いっそう生き生きと輝くのは、自分の意識化にあるものと繋がり、自分とキャラの区別もつかないほど一体化するからですね。

それはさながら自身の潜在意識を掘り出すようなものです。

たとえ狂気の殺人鬼でも、すらすら書けてしまうのは、憎悪、殺意、屈折した感情など、自分の中に同じものが秘められているからです。

それを恐れずに引き出せる人が、ダース・ベイダーのようにユニークなキャラを作り出せるのではないでしょうか。
(ちなみに、ダース・ベイダーは、ジョージ・ルーカス監督の父親がモデルと言われています)

情報収集は、あくまで理解を深める為の手段であって、必要なものは全て自分の中に眠っています。

それが叶わず、キャラが空回りするのであれば、物語に必要のないキャラか、頭の中でしか分かってないということでしょう。

今まで本気で母国の繁栄を願ったこともなければ、責任を負ったこともない人が、見よう見まねで、エリザベス1世のティルバリーの演説を模したところで、説得力はありません。

薄っぺらい、教科書の丸写しみたいなセリフで終ってしまうでしょう。

しかし、一度でも母国の将来を憂い、学級委員でも、班長でも、人を束ねる責任を負った経験があれば、万人の心を打つような演説の場面を描くことができると思います。

創作は、頭の中で作っているうちは本物ではありません。

なんちゃって女王や、なんちゃって将軍の言葉に心を動かされるほど、読者も単純ではないです。

その為にも、潜在意識を掘り返し、胸の奥底に秘めた欲望や感情をキャラを委ねましょう。

その時、初めて、創作物が実在の人物のように命を得るものです。

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By <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Historicair" title="User:Historicair">historicair</a> - <span style="border:1px dotted #FC0;padding:0 4px"><a href="https://en.wikipedia.org/wiki/File:Structural-Iceberg.png" class="extiw" title="en:File:Structural-Iceberg.png">Structural-Iceberg.png</a></span> by <a href="https://en.wikipedia.org/wiki/User:Jordangordanier" class="extiw" title="en:User:Jordangordanier">Jordangordanier</a>, Public Domain, Link

以下は覚え書きです。参考にどうぞ。

登場人物に息を通わせる ~躍動感のある物語を書く為に

小説を書く上で一番大事なことは何か……と問われたら、登場人物と息を通わせることだと私は思う。

相手の声、相手の姿、仕草、趣味、口癖、生活習慣まで、リアルに感じられて初めて人物が説得力をもつ。

頭の中で書いているうちは、まだまだ薄っぺらい。

言葉も、行動も、表層だけをなぞって、空回り。

決め言葉にも、真摯な響きがなく、読み慣れた人なら、すぐに気付くだろう。

ああ、この人、頭の中だけで書いている。

会社で働いたこともなければ、失恋したこともない。

寒さに凍える人の気持ちも分からない、と。

そうならないように、日々を生きる。

人物の感情が完全に自分のものになるまで。

心の底から、「この一言」を引き出せるまで。

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