書いたら、推敲しよう
はじめに
ここでは、推敲に役立つグッズや、推敲のコツを紹介しています。
『文章力は推敲によって伸びる ~自分で自作の粗が分かりますか?』でも書いているように、書く力は、推敲の段階で飛躍的に伸びます。
どんな人でも、自分の書いたものを客観的に見つめ直すのは勇気が要りますが、それが出来るか、出来ないかで、文章力はもちろん、精神力も違ってきます。
ちょっと批判されたら、ヘナヘナとなってしまう人は、一度、じっくり推敲して、自分で自分にメスを入れる強さを身に付けるといいですよ。
やがて自分を客観的に見詰める能力が培われ、執筆のみならず、人生全体に好い影響がもたらされます。
推敲のコツ
PCを使う場合、推敲の方法は二通りあります。
一太郎やWordなど、文字装飾や付箋機能のあるアプリを使う
修正箇所を文字装飾で強調したり、付箋を使ってコメントする方法です。
自分なりにルールを決めて(修正箇所は赤色、再確認は■~■で囲むなど)、分かりやすくマークすると、整理しやすいですね。
気になる箇所にブックマークを挿入して、一覧表示してもいいですね。
紙に印刷し、ペン入れする
一度,全文を紙にプリントアウトし、色鉛筆やマーカーを使って、推敲を重ねる、古典的なやり方です。
ブラウザやモバイルでは追い切れない、文章全体を俯瞰することができます。
印刷して推敲するメリット
どれほど高性能なPCやライティングツールを使っても、小さいモニター上で文章全体を俯瞰することはできません。
オンライン・ドキュメントやワープロソフトも、細部の修正には便利ですが、文章全体から見て、その一文がどこに書かれ、構造的にどうか俯瞰することはできません。
アウトライン機能やブックマークなどを使えば、物理的な位置はすぐに把握できますが(第二章の冒頭、789行目など)、文章の流れにおいて適切かどうかまでは分からないと思います。
また、自分では完璧にシナリオを書いたつもりでも、紙の書籍のようにプリントアウトして、じっくり読み返せば、頭の中のイメージと大きく異なることもあります。
PCやスマホの小さな画面で、目を皿のようにしてテキストを読み直すより、はるかに効果的です。
その場で思いついたことを行間やページの裏側にさっとメモ書きしたり、カラフルな付箋や色鉛筆でマーキングできるのも、印刷のメリットです。
他にも、印刷して、初めて気づく間違いもたくさんあります。
● 誤字脱字
一太郎やWordにも校正機能はありますが、
「あなたは言ったわね」→ 「あなた言ったわね」「あなたは言ったねね」みたいなタイプミスは拾わないこともあります。
● 表記ゆれ
「シャンペン」と「シャンパン」
「コンピューター」と「コンピュータ」
同じ意味でも、表記の異なる単語が混在するケースです。
一太郎にも表記ゆれの校正機能はありますが、一般的な単語しかチェックしない為、専門用語や特殊な言い回し、自分で考えたキャラ名などは拾わないので、最終的には自分の目で確認する必要があります。
● 不自然な言い回しや説明不足
特に気をつけたいのが「説明不足」です。
自分では何もかも分かっているので、「必要ない」と思いがちですが、第三者から見れば、何のことか、さっぱり意味が分からないこともあります。
「今日、初めて、この本を手にした、素人の高校生」のつもりで、自分の書いたものをシビアに読み返しましょう。
● そもそもストーリー自体が破綻している
自分では完璧にプロットを立てたつもりでも、いざ文章化して、一つに繋げてみれば、「あり得ない行動」「あり得ない台詞」「あり得ない結末」に転ぶことはあります。
しかし、テキストエディタやワープロで、局所的に執筆している時は、その歪みに気付きません。
完成した後も、モバイルでざっと読み返すだけでは、その歪みに気付かないと思います。(自分の頭の中では、ストーリーが分かっているので)
プリントアウトして、最初の一ページと最後の一ページを見比べて、流れが自然であれば成功。
そうでないなら、中間部がどれほど良くても、感動には程遠いです。
書籍のように見開き+両面印刷する方法
とはいえ、印刷代もタダではないので、段組+見開き+両面印刷を使って、効率よくプリントアウトする方法をご紹介します。
手順は次の通りです。
- 印刷用のレイアウトを作る(A5版)
- PDFを作成して、印刷面をカスタマイズ
- A4用紙に両面印刷する
印刷用のレイアウトを作成する(文字ぎっしり)
応募原稿などを作成する際、「20文字✕30行」といった規定に沿ってレイアウトを組むことが多いですが、推敲する時は、『二段組み ✕ 文字ぎっしり』にすると、用紙の節約になり、文章も読みやすいです。
私のおすすめは、『A5版の二段組レイアウト』+『A4用紙に両面印刷』です。
一太郎の場合。
メニュー『ファイル』→『文書スタイル』→『きまるスタイル』に、A5版+二段組みのテンプレートがいくつか用意されているので、自分のイメージに近いものを選びます。
いったん、テンプレートを適用して、その後、『スタイル』で、フォントや行間をカスタマイズします。
段組のレイアウトと見比べながら、細部を調整します。
段組を作成するには、メニュー『書式』→『段組』で設定します。
『段組』→『オプション』で、段間のスペースや、段間内の罫線などを設定することができます。
PDFを作成
A5版のレイアウトが完成したら、PDFに出力します。
直接、用紙に印刷するよりも、いったんPDF化して、印刷面をカスタマイズした方がトラブルも少なく、細かな調整が可能です。
ヘッダーやフッター(ページ番号)も工夫すると、いっそう文章全体を俯瞰しやすくなります。
A4用紙に両面印刷
PDFの準備ができたら、両面印刷のセットアップをします。
プリンター内蔵の印刷設定で調整してもいいですが、PDF機能を使えば、より細かな設定が可能です。
一例として。
・ 両面印刷 ・・ 『短片』(A4用紙の短い方を綴じる)
・ ページの配置とスケール ・・ 『シートあたりのページ数』(1枚につき2ページ印刷)
これで、「A4用紙 一枚」に、「A5用紙 4ページ分」(2ページ✕表裏)を印刷できます。
一太郎のページ換算で「400ページ」の文書も、「A4用紙 100枚」で収まります。
ページのカスタマイズ
PDFに『ページ編集(クロップ)』の機能があれば、余白を減らして、印刷面を拡大することができます。
同じ10ptのフォントでも、印刷面を広げることで、字面を大きくすることができます。
インクを節約する
最近では、プリンターに節約機能が備わっているため、以前ほど需要はありませんが、拡張アプリケーションを使って、インク量を調整することもできます。
筆者は、『GreenCloud Printer』という海外製ソフトウェアを使っています。永久ライセンスで、軽量で、プリンターよりさらにインク量を減らせるので、重宝しています。
『秀丸パブリッシャー』 で「縦書き・二段組」をきれいに印刷をする方法【秀丸エディタ使用】
草稿用のプリントアウトに便利です。エディタとは異なるフォントを使って、きれいに印刷できます。
推敲に役立つグッズ
色鉛筆と消しゴム
なんだかんだで、一番便利です。
思いついた時に、さっと書き込める。
不要になったら、消す。
マーキング用の色鉛筆、シャープペンシル、消しゴム。
蛍光マーカーを使ってもいいですが、インクが裏側に染みたり、文字がにじんだりするので、あまりおすすめしません。
その点、太めの色鉛筆なら、手軽に線を引けるし、インクが染むこともありません。
文房具やでばら売りしているので、好きな色を一本、買い求めるのもいいですよ。
色は、オレンジがおすすめです。(黄色は薄すぎる、緑や青系は、あまり目立たない)
ハンディタイプの可愛いエンピツ削りもお忘れなく。
付箋
付箋も、目印をつけるのに役立ちます。
ネオンカラーの小さなタイプでもいいし。
大きめのポストイットを一箱買って、用途に応じて、ハサミで半分ぐらいに切ってもOK。
※ リンク先はamazonストア
ファイル綴じ具、バインダーなど
ページ数が多い場合は、章ごとに分けて整理してもOK。
持ち歩きに便利なファイルケースやバインダーを使うと、外出先でも作業ができます。
ファスナー式の綴じ具も便利です。
2穴 パンチ穴あけもお忘れなく。
日本は可愛いステーショナリーがたくさんあって、羨ましいです(*^_^*)