『台詞』と『話し言葉』は違う ~会話によるキャラの書き分けができますか? 

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記事について

日常会話をそのまま書き写しても「台詞」にはなりません。台詞は話し言葉ではなく、キャラの気持ちや状況を伝える文章表現の一つです。
役柄を研究して、キャラにふさわしい台詞を考えましょう。

本格SF小説を書きたい人向けのヒント集です。

目次 🏃

『台詞』と『話し言葉』は違う

小説において、キャラクターの喋りは『台詞』であって、話し言葉ではありません。

話し言葉というのは、「今日、どこに行く?」「テーマパーク」みたいな会話文です。

日常会話をそのまま文章にしても、小説にはなりません。

誰が誰と喋っているのか、読み手にはさっぱり分からず、アニメの台本を読まされているみたいです。

たとえば、初めて会った男女の会話。

「名前、何ていうの?」
「山田花子」
「へえ、昭和だね」

こんな会話文も、登場人物の年齢や職業、出会いのシチュエーションによって大きく異なります。

エリートが美しい人妻をナンパする場面なら、

「よかったら、君の名前を聞かせてくれないかな」
「どうして?」
「今夜の思い出に」
「気乗りしないわね」
「僕に教えるのは、イヤだってこと?」
「そうじゃないの。古臭いから」
「だったら、ますます興味が湧くな」
「そう? 聞けば、がっかりするわよ」
「いいから」
「花子。――山田花子よ」
「……」
「ほらね、そういう顔するでしょ。周りの反応は、みな同じ。『見かけによらず、古風だね』。あなたもそう思ってるんでしょ?」
「いやいや。むしろ新鮮で、忘れがたい。今夜の君みたいに」

現実に、こんな会話をする人はないですが、小説とはそういうものです。

一言一言にキャラの個性があり、感情があります。

それを蔑ろにして、普段、自分たちが口にするような話し言葉や、アニメの台本みたいな台詞をだらだら連ねても、読む側には情景がまったく浮かばず、退屈なだけです。

台詞ほど、書き手のセンスと力量が問われる部分もなく、これを手抜きすると、物語自体が死んでしまうんですね。

歩兵には歩兵の、将軍には将軍にふさわしい語り口調があり、その違いが物語に躍動感を生みます。

どれほど仕掛けや設定が凝っていても、将軍も、歩兵も、みな同じ語り口調で、個性を欠けば、面白みに欠けますし、将軍の喋りが少年野球のキャプテンみたいで、知性や品格を欠けば、緊張感も失われます。

まるで目の前で彼らが喋っているように描くには、人間理解と知識が不可欠なのです。

想像力が及ばないなら、勉強しましょう。

実際に軍隊を率いたことがなくても、ナポレオンやジュリアス・シーザーのような名将の伝記を読めば、人間性や考え方は理解できます。

ナポレオンやシーザーをモデルにした映画や舞台劇を見れば、それらしい物言いも身に付きます。

学びとはそういうものであり、毎日1000文字書くことが勉強ではないんですね。

小説は、アニメと違って、直接、視覚に訴えることはできません。

書き手の中で、どれほど美しい女性でも、言葉だけでそれを伝えるのは至難の業です。

だからこそ、キャラの発する台詞に重きを置き、感情、状況、今後の展開を分かりやすく伝える工夫が不可欠なのです。

「姫君はびっくりしたように答えた」と説明しなくても、台詞だけで情景が浮かぶのが小説です。

作家の力量は、台詞に現れるものです。

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