人と社会– tag –
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現代に生きるためには、無垢な心がどのような報復をうけねばならないか 映画『シベールの日曜日』
ガラス玉を星のかけらと思い込める感受性は、その星のかけらの鋭い刃先でみずからの心を傷つける。現代の生きづらさの正体と人間の感受性に関する文芸コラム。 -
大人の優しさって何だろう 『秘密戦隊ゴレンジャー』 ユニークな仮面怪人と制作裏話
昭和の子供を熱狂させた戦隊ものの元祖。『ストーブ仮面』や『パイナップル仮面』など毎回ユニークな仮面怪人が登場し、制作スタッフの熱意と気づかいが伝わってくる。解説本『ゴレンジャー大全』のインタビュー記事には役者やスタッフの子供に対する気づかいが感じられる。コラム『大人の優しさって何だろう』と併せて。 -
テクノロジーによる格差社会を描く『銀河鉄道999』~永遠の命(機械の身体)を求める人は案外幸せなのかも
『銀河鉄道999』では機械化人間が永遠の命を得るが、それを欲する人は幸福な人ではないかという心のコラム。テクノロジーの発達による格差の拡大に関する社会的考察と併せて。『銀河鉄道999』が描く格差社会 / スティーブン・ホーキングの「技術による格差」 -
社会正義とは相対的なもの ペルー日本大使館占拠事件と映画『ベル・カント とらわれのアリア』
この世には数え切れないほどの正義があって、誰もが自分の信じる正義のもとに生きている。それが時には凶器ともなることを自覚しながら、私たちは何が正しく、何が真実かを見極める目を今後いっそう養っていかねばならない。 -
オレオレ詐欺と現代のラスコーリニコフ ~金持ちの高齢者から騙し取るのは罪なのか?
『持てる者から奪えばいい』というオレオレ詐欺の論理はなぜ間違いなのか。個人が勝手な正義を行使することで社会不安は増大し、その人自身も幸福にしない。『罪と罰』のラスコーリニコフの主張をテーマに現代の問題点を読み解くコラム。『一つの殺人で、数千の生命が堕落と腐敗から救われるとしたら?』『利己主義の蔓延』『持てる者から奪うことは正義なのか?』 -
作品に罪はあるのか。非凡人は法律を超える権利を有するのだろうか。
マイケル・ジャクソンの性的暴行容疑に思う。有名人の犯罪は「非凡人」ということで許されるのか。作品に罪はないのか。ドストエフスキーの名作『罪と罰』の「非凡人は法も踏み越える権利を持つ」というラスコーリニコフの思想をベースにしたコラム。 -
漫画『DEATH NOTE』 なぜ人を殺してはいけないのか
DEATH NOTEによって死神の力を手に入れた優等生・夜神ライトは、世直しと称して悪人の削除を繰り返すが、最後は手当たり次第に邪魔な人間を抹殺する大量殺人犯となる。「非凡な人間は法をも超える権利を有する」というドストエフスキーの『罪と罰』の世界観を交えながら、人が一方的に人を裁くことの危うさを説くコラム。『 優れた人間が悪い人間を削除していい、という考え方』『ライトの考えは独裁と同じ』『裁きは神の領域 ~神だけが本当の善悪を知っている』 -
それでも幸福は金で買える『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
儲けにプラスアルファで再投資。それを何度も繰り返す。すると客は金持ちになったと勘違いし、ますます株の売買にはまる。ウォール街の伝説ジョーダン・ベルフォートの金銭哲学と逮捕までの日々を過激に描くマーティン・スコセッシ監督の話題作。真面目に働くのが馬鹿馬鹿しくなるウォール街の名言を紹介。 -
実体なき現代のマネーゲームを描く 映画『マネーモンスター』
人気投資番組の司会者ゲイツは、彼のすすめた投資で大損した青年カイルに生放送中に襲撃される。事件は米国中に生中継され、株価暴落のカラクリが次第に明らかになる。現代のマネーゲームに警鐘を鳴らすジョディ・フォスター監督の傑作。 -
人にあわれみをかけない者には、あわれみのないない裁きが下される ≪新約聖書より≫
「人を差別するなら、あなたたちは罪を犯すことになり、立法によって違反者と断定されるのです。律法全体を守ったとしても、一つの点で落ち度があるなら、律法全部の点について有罪となるからです。人にあわれみをかけない者には、あわれみのないない裁きが下されます。あわれみは裁きに打ち勝つのです」ヤコポスの手紙 『差別に対する警告』 より。 -
『かもめのジョナサン』と群れを愛そう ~孤高と孤立の違い
かもめのジョナサンは漁港と岸の間を往復する生き方に疑問を抱き、一人で極限速度を目指して群れから追放される。やがてジョナサンは飛行法を極め、最高の生き方を伝授したいと願うが、群れに無視される。一方、ジョナサンに共感する弟子たちは彼を神祖と崇め、間違った方向に突っ走る。現代の自己啓発ブームの先が駅となった小説を五木寛之が鋭く分析。本作の危うさと若者心理に関するコラム。 -
プラハ『飢えの壁』 カレル4世とルイ16世の慈悲心 ~仕事の創出が民を救う
寒さで凍てついたベルサイユ宮殿の庭園を視察したルイ16世は「ちょうどよかった。パリから失業している男たちをあつめて、氷かきをやらせるといい。賃金をたっぷりはずんでな」と兵士たちに命じる。プラハではカレル4世が貧困に苦しむ庶民の為に必要のない巨大な壁を建設したといわれている。君主に必要な徳と仕事が人と社会を幸福にするというコラム。