日本の作家– tag –
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男は死んでも櫻色 (三島由紀夫) / 武士道とは、死ぬ事と見付けたり
男は死んでも櫻色。切腹の前には 死んでも生気を失わない様に頬に紅をひき、唇に紅をひく作法があった。敵に封じて恥じない道徳は死の後までも自分を美しく装い自分を生気あるように見せるたしなみを必要とする。散り際の美学を説く三島由紀夫の名言。 -
池上遼一が描く艶やかな文豪の世界 『近代日本文学名作傑作選』/ 地獄変、お勢登場、藤十郎の恋、松風の門、天守物語
心卑しい天才絵師が、帝から命じられた「地獄変」の屏風絵を完成させるため、「世にも美しい女が火に焼かれて悶え死ぬところが見たい」と申し出たところ、帝の計らいで実現する。だが、絵師の目の前で火にかけられたのは、なんと彼が心から愛する一人娘だった……芥川龍之介『地獄変』をはじめ、日本文学の名作を官能的に描いた珠玉の短編集。巻末の中島梓氏の書評の紹介と併せて。 -
松田優作の映画『野獣死すべし』 荻原朔太郎の『漂泊者の歌』とリップ・ヴァン・ウィンクルについて
松田優作の鬼気迫る演技で知られる『リップ・ヴァン・ウィンクル』の台詞と風俗の場面で流れる荻原朔太郎の詩『漂泊者の歌』を中心に映画の見どころを解説。戦場ジャーナリスト伊達邦彦の狂気をあますことなく見せつけるハードボイルドの傑作。 -
地獄という芸術 遠山繁年の絵本『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)
芥川龍之介の名作『蜘蛛の糸』を遠山繁年の色彩鮮やかな絵画で綴る絵本。本作に描かれた地獄とは何か、蜘蛛の糸を伝ってきた何万の罪人は救われるのか、なぜ地獄の絵は生き生きと描かれるのかを考察したコラム。 -
江戸川乱歩の『芋虫』~現代の老人介護を想う
時子の夫は戦争で負傷し、手足を失って、芋虫のような寝たきりになってしまう。時子はかいがいしく世話していたが、やがて疲れ切り、暗い感情を抱くようになる。発作的に夫を傷つけた後、時子が目にしたものは……。現代の介護者の苦悩を思わせる壮絶な心理描写と結末が衝撃的な乱歩の傑作。作品をモチーフとした介護コラムを掲載。 -
側溝男と江戸川乱歩の『人間椅子』 フェチズムの極みは一体化
作家・佳子は不思議な手紙を受け取る。そこには椅子の中に潜んで人間の感触を愉しむ『人間椅子』の愉悦と恋が書き綴られていた。人間椅子の恋の相手が自分と気づいた佳子に驚愕の結末が待ち受ける。椅子と一体化する究極のフェチズムを描いた乱歩の傑作と実在の側溝男の文学的魅力を紹介。 -
秩序が乱れると組織は機能しない ~野村克也 VS 早坂茂三の対談より
いつか再び、若い世代が戦いの必要性を実感した時、昭和のおとーさん達の硬派な言葉が心に響くかもしれない。ある意味、現代には顧みられぬこれらの本は、未来の悩める若者の為に書かれたのかもしれない。 -
通りすぎないものもある 村上春樹『風の歌を聴け』
『あらゆるものは通り過ぎる。誰にもそれを捉えることはできない。僕たちはそんな風にして生きている』の一文で知られる村上春樹のデビュー作。小説に現実性を求める人にはイライラするかもしれないが、随所に若い感性と洞察が光る印象的な作品。 -
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と蠍の火 ~まことのみんなの幸のために
「どうしてわたしはわたしのからだを、だまっていたちにくれてやらなかったろう。こんなにむなしく命をすてず、どうかこの次には、まことのみんなの幸のために私のからだをおつかいください」蠍の願いは燃えるような赤い星に昇華する。慈愛と救済がぎゅっと凝縮された『銀河鉄道の夜』の名場面をアニメと併せて紹介。ブルカニロ博士の削除に関するコラムも掲載しています。 -
三島由紀夫&美輪明宏『黒蜥蜴』妖艶と美麗の極致
美貌の女盗賊・黒蜥蜴と明智小五郎の死闘を描いた江戸川乱歩の傑作。三島由紀夫が戯曲化し、美輪明宏が演じた舞台は耽美の極みであり、妖艶な世界観と流麗な台詞が素晴らしい。特に気に入った部分を紹介。
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