医療と人間– tag –
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ブラックジャックの診療報酬 ~患者さま時代の医療
【ブラックジャックの診療報酬】 手塚治虫氏の医療マンガ『ブラックジャック』は、無免許の天才外科医でありながら、患者に法外な診療報酬を要求する。 常識で考えれば、「人の弱みにつけこんで、なんたる外道!」と思うが、ブラックジャックはあえてダー... -
江戸川乱歩の『芋虫』~現代の老人介護を想う
時子の夫は戦争で負傷し、手足を失って、芋虫のような寝たきりになってしまう。時子はかいがいしく世話していたが、やがて疲れ切り、暗い感情を抱くようになる。発作的に夫を傷つけた後、時子が目にしたものは……。現代の介護者の苦悩を思わせる壮絶な心理描写と結末が衝撃的な乱歩の傑作。作品をモチーフとした介護コラムを掲載。 -
ヒポクラテスの誓いと良心の呵責 『殺意の誓約』(2016年)
優秀な外科医フィンヌルは娘アンナの恋人がヤクの売人であり、娘も薬物依存症であることを知って、別れを迫るが、逆に手切れ金を寄越せと脅される。切羽詰まったフィンヌルは、恋人を拉致し、殺害することを計画するが、意外なところからアリバイが綻び始める。 -
渡辺淳一の医療小説『光と影』 ~手術の順番が二人の患者の明暗を分ける
手術時の患者の取り違いをテーマに人生の光と影を描く直木賞受賞作。まさに運としか言い様がない二人の男の栄光と挫折を渡辺氏らしい流暢な筆致で描く。 -
医療現場の十人十色 人の生き様と死に際
生き様と死に際も人それぞれ。どれも人間らしくて、最後には許されるのではないかと。そう頑張らず、立派を目指さず、自分らしく死んでゆけばいいのです。何を得たかよりも、何を為したかに重きを置く方が、結果的には魂の充足に繋がります。 -
死刑囚に手術をする、ということ ~手塚治虫の『ブラックジャック』より
【凶悪犯でも治療する意義】 2019年7月、日本を代表するアニメ制作会社『京都アニメーション』の第一スタジオに容疑者Aが侵入し、室内に大量のガソリンをまいて放火、36名が死亡し、33人が重軽傷を負う事件がありました。 Aもまた瀕死の重傷を負い、病院に... -
死ぬことと生きること 『病院は社会の縮図、そして人生の縮図』
分娩に立ち会った次の日の朝、 いつものよ うに白い洗面器にぬるま湯をはり、一番最初に洗面介助をした重症のおばあちゃんの個室に運んで行くと、すでに名札が外され、部屋は空になっていた。 「あの……あの方、部屋を替わられたんですか?」 と看護婦さんに... -
延死 ~医療が引き延ばす死~
命を延ばすというよりは、死を引き延ばすような医療の在り方について。人間としての思考も意識も完全に停止し、自分で自分が誰であるかも分からない、ただ呼吸するだけの肉体として存在するに過ぎないなら、それも人間として尊厳のある「生」のうちに入るのだろうか? -
パンデミックの脅威を描く 映画『アウトブレイク』 ~なぜ感染症は水面下で拡大するのか
ダスティン・ホフマン主演の医療サスペンス。医療機関の監修に基づき、感染症が拡大する様子をリアルに描いている。陰謀あり、駆け引きありで、娯楽としても楽しめる良作。医療コラム『なぜ感染症は水面下で拡大するのか』と併せて。 -
死を受容する必要なんか、ない 渡辺淳一の医療小説『無影灯』
難病に苦しむエリート医師と看護婦の恋を描いた『無影灯』は渡辺淳一氏の死生観や医療観が色濃く反映された医療小説。がん患者に告知することは正しいのか。優しい嘘をつくことが患者の救いになることもある。末期医療の在り方に一石を投じる傑作。医療コラム『がん告知 ~優しい嘘が患者を救うこともある』
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