生きていくこと– tag –
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寺山修司の『時速100キロの人生相談』~高校生の悩みに芸術的回答~
寺山修司が高校三年生の悩みに芸術的に回答。斜め下から真理を突き刺すような分析と比喩が素晴らしい。『幸福はもっと、たけだけしいものだ / 地獄を肉眼でとらえなさい / 怒るなら、もっとでっかく怒ることです / 想像力で人生を変えなさい /目的を作り出してゆくのが日々の営み / 人間は進歩するのではなく、変化するもの』など。 -
寺山修司の『ポケットに名言を』 言葉を友人に持ちたいと思うことがある
「言葉を友人に持ちたいと思うことがある。それは、旅路の途中でじぶんがたった一人だということに気がついたときにである」寺山修司の好きな言葉のコレクション。コラム『言葉を友人に持ちたいと思うことがある / 言葉をジャックナイフのようにひらめかせる / シャツでも着るように軽く着こなしては、脱ぎ捨ててゆく / 旅路の途中でじぶんがたった一人だということに気がつく時』 -
わたしは死に向かって言おう 『よし!それならもう一度』
言葉の問題を克服し、サッカーで自信満々のヴァルターは段々と生意気になり、母とも喧嘩が絶えなかった。父のグンターは「それは本当の心の強さではない」と諭し、親子の絆を深めながら、「これが生だったのか、それならよし、もう一度」の気持ちを実感する。コラム『永劫回帰とはこの人生をもう一度、生きてもいいと思えること』と併せて。 -
潜水艇パイロットと船上生活 ~さまよえるオランダ人のように
㉟ 念願叶って海洋技術センターに入職したヴァルターは潜水艇パイロットとして第一歩を踏み出す。西に東に、大海原を駆け巡るヴァルターの暮らしはさながら『さまよえるオランダ人』。船を住処に西に東に海を渡る。 -
運命は気まぐれに人生をもてあそぶ ~人間の意思より運命が強いのか
【運命は気まぐれに人生をもてあそぶ】 運命よ。お前の好きにさせてやる それから何処をどう歩いてバス停まで辿り着いたか分からない。辺りは夜闇に包まれ、深い雪が降り積もっている。 彼は風雪をしのぐ為にアクリル製の待合ブースに入り、樹脂ベンチに腰... -
繰り返される悪夢と心的外傷 ~ビジネスという名の再婚
夫亡き後、母アンヌは深い心の傷を抱えた息子を立ち直らせようとするが、教育にも治療にもお金がかかり、暮らしもままならない。かつての婚約者で裕福な実業家でもあるジャン・ラクロワが再婚を申し出て、アンヌは息子の治療の為に受け入れる。 -
心の漂流 ~何所にも帰る場所はなく
継父はヴァルターの心を開こうとするが、生活が華やぐほど、父の素朴な教えと愛が思い出され、ますます塞いでしまう。義父の「甘やかし、無責任」という言葉に動揺したヴァルターはドラッグを口にし、何所にも帰る場所のない悲運を嘆く。 -
あんたなんか父親じゃない。一生かけても『父さん』とは呼ばない
㉘ 級友にドラッグを売りつけていたマルコが逮捕され、ヴァルターも書類送検される。だが謹慎中に一人で港に出かけたヴァルターは継父ジャン・ラクロワと諍い、「あんたなんか父親じゃない」とラクロワ家と訣別する。 -
愛とは過ちも許すこと ~何度生まれ変わっても、同じ道を選ぶ
商船学校に入学し、ようやく生き道を得たヴァルターは久々にカールスルーエの祖父を訪ねる。ドラッグで書類送検された経緯を話すと、「だとしても、グンターはそれを許せる人間だ。それが愛というものだよ」と慰められる。 -
創造的であることが、あらゆる苦悩から我々を解き放ってくれる
㉛ 大洪水の後も悪夢と喪失感に苦しむヴァルターは同郷の大学教授の講演に足を運ぶ。「創造的であることが、あらゆる苦悩から我々を救ってくれる。傷つき、苦しむ自分を恥じなくなった時、本当の意味で君は悲劇から自由になれる」と励まされる。 -
堤防決壊と父の死 ~生きて、生きて、最後まで生き抜いて
大型低気圧の到来で海面や運河の水位が上昇し、グンターは堤防の保護に全力を尽くすが、ついに決壊してしまう。父を亡くして茫然自失とするヴァルターを、母のアンヌは「生きるのよ」と励ます。 -
人生の半ばにおいて、人生は私を失望させはしなかった ~ニーチェの『悦ばしき知識』より
言葉の問題を乗り越え、サッカー仲間もできた息子ヴァルターの姿に、グンターはようやく苦難を抜け出したことを実感する。一方、締切堤防の補強工事をめぐって自治体と対立。水害の脅威が迫っているのに可動式台防潮水門の改修工事が優先される。