ラヴェル『ピアノ協奏曲 第二楽章 Adagio Assai』に寄せて ~音色の源泉は魂にあり

マルタ・アルゲリッチ ラヴェル ピアノ協奏曲
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ラヴェルの『ピアノ協奏曲 第二楽章』に寄せて

交響曲も、ピアノ協奏曲も、第二楽章は美しいアダージョが定石だが、ラベルの『ピアノ協奏曲 Le Concerto en sol majeur 』の第二楽章 Adagio Assai も他の名曲に負けず劣らず美しい。
<左手のためのピアノ協奏曲 Le Concerto pour la main gauche en ré majeur ではない方>

さながら、古いオルゴールから聞こえてくる、懐かしい調べのよう。

特に中間部のフルートのソロは、親しかった先輩のことを思い出す。

初めて出会った頃は、怖い、怖いと思ってたけど、ある日、教室の隅でうたた寝しながら、遠くにフルートの演奏を聴いた時、あまりの音色の美しさに陶然となった。

世の中に、こんな優しい音色を奏でる人がいるのかと、まるで魔法の森を覗き見る気持ちで、音のする方に行ってみたら、無人の教室から先輩が出てきて、びっくりした。

まさか、あなただったのですか……。

それからです。先輩に対する見方が変わったのは。

何所に行っても、誰に対しても、つっけんどにしてるけど、本質はあの音でしょう。

それから、少しずつ言葉を交わすようになり、音色通りの人だと分かった時は嬉しかった。

好きとか、格好いいとか、そういう話ではなく、音色の源泉は魂にありと実感できたからだ。

性格が悪くても、演奏の上手い人もあるが、愛される演奏はまた別と思う。

何故って、上手いからといって、必ずしも愛されるわけではないからだ。

そして、多くの場合、心に残るのは、愛を感じる演奏だ。

音楽愛。

人間愛。

世界への愛。

溢れんばかりの想いが、音になって流れ出る。

あの日、先輩は、何を思いながら一人で練習していたのか知れないが、これだけは言える。

音は人なり、と。

マルタ・アルゲリッチの演奏

マルタ・アルゲリッチはあまり聴かないのだが、この二楽章は本当に素晴らしい。

こちらは演奏会のライブ映像。どこかドビュッシーを思わせる、夢見るような旋律が印象的。

ラヴェルのピアノ協奏曲といえば、『左手のためのピアノ協奏曲』が圧倒的に有名なので、こちらはあまり聴く機会がないが、「世界で最も美しいピアノ曲」のリストに加えたい逸品。ちなみに、トップは、『亡き王女のためのパヴァーヌ』。これもラヴェルですね。

YouTubeのコメントでも、「トリルが難しい」という書き込みがあったが、本当にその通り。
でも、ライブでこれだけぴたりと決まるのだから、さすがアルゲリッチと言う他ない。

Spotifyで配信されているのは、欧州向けのアルバムなので、日本は未入荷だと思います。

日本では、アルゲリッチのラヴェル『ピアノ協奏曲』 はプロコフィエフのピアノ協奏曲とカップリングで販売されています。

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