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シリーズの概要
『子供が家を出て行く日』は、河合隼雄の著書『家族関係を考える』をベースに、子供の自立と親子関係について綴る子育てコラムです。
子育てコラムの多くは、親サイドから宣べられていますが、当シリーズは子供の自立に役立つ内容も併記し、親と子の両面からアプローチしています。
当シリーズが皆さんのお役に立てば幸いです、
章立て
第一章 精神的親殺しとは何か
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精神的親殺しとは何か 子供の自立と親子対決世の中にこれほど『親死ね』『殺したい』を願う人が存在するのも一驚でしょう。何も知らない人が見れば、誰も彼もが殺意を抱いているのかと恐怖を感じるかもしれません。しかし、こうした人々は本気で親の死を願い、殺す方法を模索しているのでしょうか。その理由について考察することが、親子関係をやり直すきっかけとなり、子供の救いとなります。
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十八歳の決断 親から離れて自立するフランスの思想家、ジャン・ジャック・ルソーの名言に「人は二度生まれる。一度目は存在するために。二度目は生きるために」というものがあります。心身ともに成長し、『自分』というものが頭をもたげてきた時、親を乗り越えて前に進むか、生涯、無力感や無能感にとらわれて人生を棒に振るか。そこが大きな分かれ目です。
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十七歳のオイディプス 「親 死ね」「親 殺す」の正体十七歳は、世の中のこともよく知らず、心を処す術も知らない、オイディプスと同じです。若いエネルギーを持て余し、自分らしく生きる道を渇望しています。では、彼らがこの葛藤を克服し、成熟した大人になるには、どうすればいいのでしょうか。子供たちの「親志ね」「親殺す」という感情には理由があります。
第二章 十七歳のオイディプス
第三章 十八歳の旅立ち ~オイディプスの幸せ道
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勉学と文学的感性が人生を救う【勉学が身を救う】 いつの時代も、勉強は大きなプレッシャーです。面倒で、退屈で、心の底から好きという方が少数かもしれませんね。 しかし、これからの時代、ますます分析力や創造力が求められるのは確かです。IT化によって誰もが簡単に情報を入手で...
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「強さ」とは「受け入れる力」のこと強くなりたいと願う人はたくさんいますが、本当の心の強さとは何でしょうか。折れない心、傷つかない心の根底にあるのは「受け入れる力」です。poserよりもacceptこそが人生の知恵です。
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「怒ること」は悪ではない ~内なる感情を大切にしようあなたは「怒り」をもっと大事にしていい。人間の気持ちの一つとして尊重していい。それをどう表現するかが問題であって、怒りそのものが悪ではないのです。怒りも尊い感情の一つと捉え、怒っている自分自身を大切にしましょう。「怒るのは悪いこと」と自分を否定する必要はありません。
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ダメ親も成功のモチベーション ~立派で優しい親が子供を幸せにするとは限らない立派な親が必ずしも子供に良い影響を与えるとは限りません。ダメ親だからこそ、反面教師にして、子供が賢くなることもあります。優しい親に甘やかされるより、冷たく突き放される中で育つ自立心もあります。大事なのは自分の人生と志です。ダメ親だからこそ、あなたは幸せになる必要があるのです。
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人生は誰に出会うかで決まる人生の大きな流れは本人の能力や努力とは離れた「人との出会い」で決まります。いい出会いがなければ、どれほど優れた才能も活かされずに終わるし、凡庸な人でも良い上司や仲間に恵まれたら大きな成果を上げることができます。心を磨き、礼節を重んじ、強力なパートナーに見込まれることも大事な才能です。
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人生は夢を叶えるためにある若い人に「何の為に生きるのですか?」と問われたら、私は迷わず「夢を叶えるため」と答えます。 夢を叶えるといえば、アイドル歌手になるとか、人気漫画家になるとか、自分の好きな事で稼いで、なおかつ社会的にも評価されることがそうだと思いがちですが...
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心の問題は何度でも克服する心が再び呪いに囚われかけても、自分のことを弱いとか卑怯とか責めてはいけません。長い間、苦しんできたのです。そう簡単に影は追い払えません。それでも歩みを進めれば、だんだん心も強くなります。
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「大人になる」ということ ~親もまた”人間”と気付く時~子どもはある年齢に達したら「大人になる」わけではありません。経済的に自立しても心の自立に失敗する人はたくさんいます。心の中にいつまでも「幼い自分」を残したまま親への恨み辛みに固まっていると、考え方も偏屈になり、人間関係や仕事にも影響するようになります。
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本物の自信は揺るがない ~どうすれば自分を信じることができますか人より優れているから、自信がつくのではありません。自信とは、自分の底力を信じる気持ちです。どうすれば、自分に自信をもって、力強く生きていくことができるのでしょうか。
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まずは「幸せになる」と自分に誓いを立てる ~自立とは責任を果たす側に進むことここでは自立を決意した時、具体的にどのように行動すべきか、考え方のコツや注意点についてピックアップしています。
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親殺しは心の中で成し遂げる オイディプスの幸せ道親に逆らうことに罪悪感を持ち続ける限り、あなたは生涯、呪いの囚われ人であり、「親 死んでほしい」「親 殺したい」という憎悪から解放されることもありません。あなたの心の中で、親は一生許しがたい悪魔として存在し、その毒は、あなたの人生も、あなたの周りの人も、めちゃくちゃにしてしまうでしょう。
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自分を見つめる・自分を知る ~自分自身を理解することが幸せへの第一歩親と対決するにあたって一番大切なのは、『自分を知る』ということです。闘う前に、自分はどうしたいのか、何が欲しいのか、とことん考えて、自分という人間を理解しましょう。愛が欲しければ、愛のある方へ。自由が欲しければ、自由のある方へ。求めるものを堂々と目指しましょう。
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親に変わることを期待してはいけない ~精神的・物理的距離を置く憎い、嫌いと思っても、心の底では、いつか親が自分を理解してくれるのではないか、理想の仲良し親子になれるのではないかと期待するのが子ども心です。しかし、親はそう簡単に変わりません。何をどう言い聞かせても、自分の望む通りにはなりません。
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親は親、あなたはあなた ~自分を幸せにすれば、周りの人も幸せにできる親孝行も尊いけれど、『自分で自分を幸せにする』ということも、同じくらいに大事。なぜなら、あなたが幸せになれば、あなたはその余力で、周りの人も幸せにできるからです。
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親の死を願っても、人生は変わらない親の死を願っても人生は変わりません。親が変わることを願っても、親は死ぬまで変わりません。変えられるのは自分の気持ちと生き方だけ。無理に許す必要はありません。親の呪縛を逃れて、自分らしい人生を生き直してみませんか。
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「好きなことをして生きる」は正解か【「好きなことをして生きる」は正解か】 現状が厳しいからこそ、好きなことをして生きよう、というのが昨今の合い言葉になっています。 確かにそうかもしれませんが、好きな道を選択したところで、嫌なことが完全にゼロになるわけではありません。憧れの...
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大学には行った方がいいの?【大学には行った方がいいの?】 最近、高額な奨学金返還が問題になっています。 「とりあえず大学に行った方がいい」という考えで奨学金を借りたものの、返済が重くのしかかり、日々の暮らしはもちろん、将来の見通しも立たず、経済的にも精神的にも追い...
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人生なんて、人に相談しても仕方がないことが多い人には出来ることと、出来ないことがあります。それを意識することで、周りの関係も円滑になり、より良い援助を得ることができます。
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人生は最後まで生きてみないと分からない【人生は最後まで生きてみないとわからない】 正面から親に逆らう勇気もなく、一方的に抑えつけられたり、人格や能力を否定され続けたら、親殺しよりも、自分が死にたいと思う人の方が圧倒多数でしょう。 何のトラブルもない人から見れば、何を大袈裟な……...
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今日、自殺するということは、未来の自分を見捨てること今日、自殺するということは 未来の自分を裏切ること 現状を変えたい気持ちと 死にたい気持ちを 混同しちゃいけない 「死にたい」んじゃなくて 「今の自分、今の状況」をどうにかしたいんだろ? だったら命を絶つ前に 何とか変える方法を探してみてはどう...
第四章 思春期の子供とどう向き合うか
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可能性の幅を広げる ~助言は具体的に「可能性の幅を広げる」というと、あれもできる、これもできる、みたいに能力を上げることだと勘違いする人もありますが、実社会における可能性とは「Aがダメなら、Bがある」という臨機応変さをいいます。スポーツ選手でも、身体の故障を機に、指導監督...
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子供の自立は罪ではない ~親子関係は『距離』が解決することもある親から離れることが叶っても、親の影は一生ついて回ります。辛い記憶も、憎しみも、心からすっかり払拭されることはないでしょう。それでも人は光に向かって進むことができます。怒りや憎悪に生きるより、生き甲斐や悦びや友情を大事にした方が、うんと幸せだと思いませんか。
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子供だって社会の役に立ちたい【こんな私でも必要としてくれる人がいる】 子供にとって最大の転機は何だと思いますか? 模試で一位になることですか? 県大会で優勝することでしょうか。 私は「自分の個性や能力が社会に役立った実感」だと考えています。 ドイツの思想家カール・マル...
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子供の反抗は『親の否定』ではない『親殺し』という言葉だけ見れば、非常に激しい印象を受けますが、要は、親の影響から離れて、我が道を行くだけのことです。子どもだって親を愛したい。どんな時も尊敬の気持ちで仰ぎ見たいと願っています。意見が食い違うことと、親を否定することは、まったく別物です。
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対決を通しての親子関係の安定 ~立派な親の姿を見せるより、正直な人間として子供と向き合おう~立派な親だから、正しいことを言っているから、尊敬されるわけではありません。愛とはもっと正直なものです。子供は人間である親を理解し、愛したいのです。立派であらねば……という気負いは、かえって子供の心を遠ざけ、負担となってしまいます。本当の自分を恐れずにさらけ出してみませんか。
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傷つけ合わない親子関係など無い ~愛とは、問題そのもの子どもが親に腹を立てるのも、あなたが子どもの態度に傷つくのも、それだけ心が近い証拠です。誰よりも近く、愛を求める関係だから、思う通りにならなかった時の怒りや失望が大きいのです。見方を変えれば、触れ合う部分があるうちは関係修復のチャンスもあります。本当に冷め切った関係は怒りも失望も感じない、ただの無関心です。
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自尊心を育む ~本当に幸せな子供に育てる為に「自尊心」と言うと、「自信過剰」や「傲慢」といった悪いイメージを連想する人もありますが、自尊心とは、文字通り、心をもった一人の人間として自分自身を尊ぶことです。その中には、権利や社会的役割も含まれます。自尊心(あるいは自己肯定感)がなければ、人は何をしても不安で、満たされず、劣等感に苛まれるようになります。
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親である自分が好きですか? ~内なる感情を楽しむ~今時の親に一番必要なのは、「心の体験を悦ぶ余裕」ではないでしょうか。子供との関わりをあまりにも理屈で考えすぎて、人間として、素直に感じたり、悲しんだりする心の体験をなおざりにしているのです。いい親であろうと頑張る前に、母親としての自分自身をもっと楽しんではいかがでしょう。
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子育てを通して、親も『二度目の子供時代』を生き直す ~親子のロールプレイが心を癒やす時子育ては親にとって『第二の子供時代』を生き直すことです。自分が経験した親子関係を、今度は我が子との間に再現することによって、改めて自身の親子関係を振り返り、前に積み残した心の問題を、我が子との関係を通して、解決することができるのです。立場を入れ替わったロールプレイングこそが、あなたを真の意味で大人にし、いっそう心を高めてくれるのです。
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親とは『プロの子供』である『親になる』ということは、子供の気持ちと、親の気持ちと、両方わかることなんだ。ピクサーのアニメ映画『ファインディング・ニモ』の制作者インタビューでアンドリュー・スタントン監督の言葉から子育てにまつわるコラム。
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『自信たっぷりに育てられたら、子どもだってたまらんさ』(吉田秋生のカリフォルニア物語より)世の中には自分の教育法を疑いもしない親が少なくないですが、自分の方針を疑うことなく、自信たっぷりな親は、子供ではなく、自分自身を愛しているのです。その自己愛は、いずれ子供にも伝わり、子供の心を深く傷つけます。自分の親から愛が感じられない子供は、自分の存在意義が感じられず、心が壊れていくのです。
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その正論に愛はありますか ~正しいだけの親は要らない絶対的正義の立場に立って物を言えば、誰にも非難されることなく、相手をやり込めることができます。正しい事だけ、こんこんと言い聞かされても、何の救いにもなりません。「思いやりのない正しさは、時に相手を追い詰め、自尊心を著しく傷つけます。
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自己無価値観のある子供に教育は響かない【自己無価値観のある子供に教育は響かない】 看護でも、根底に自己無価値感のある患者さんへの療養指導は響かないことが多いです。「煙草は止めましょう」「一日一回は筋力トレーニングをしましょう」とすすめめても、生きる気力のない人はウンウンと頷く...
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子どもの許しはいつ訪れるのか ~親殺しと再生について子どもが真の大人になるためには、内面的な母親殺しや父親殺しをやり遂げねばなりません。それは決して恨みや憎しみではなく、親の定めた規範や価値観を乗り越えることです。内面的な親殺しに失敗すれば、子供は「自分が死ぬか、親を殺すか」という気持ちに追い込まれ、精神的自立に失敗するのです。
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親も自分自身にフォーカスする ~自分が克服すべき問題を子どもに重ね見ていませんか?空しさや劣等感など、本来、自分が克服すべき問題を子どもに重ね見て、子どもを通して解決しようとしていませんか。あなたの人生の問題は、あなた自身で解決しなければ、意味がありません。子どものことはいったん横におき、自分自身と向き合いましょう。
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子供が「死にたい」と言った時の覚え書き ~死ぬなと言うより、好きと言って欲しい子供が「死にたい」と言った時、周りの大人はどんな風に対応すればいいのか。『大人の自殺と子供の自殺は違う / 子供はなぜ「死にたい」と言うのか / 子供が「死にたい」と言ったら、まずは「ありがとう」 / 「死ぬな」と言うより、「好き」と言って欲しい / 死にたい子供は、優しい子 / 「死にたい子供」にかける言葉』などヒントを紹介しています。
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命を大切にできないのは、根底に自己の無価値感があるから他人を思いやり、愛するという行為は、自分に対する愛情があって初めて出来ること。自分で自分を愛せないものは、他人のことも愛せない。健全な自己愛や自尊心は、親との関係で育まれる。子供は「自分」というものを自然に肯定し、生きることに意味を見出し、自分を大切と思うように、他人のことも大切と思えるようになります。
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子供が家を出て行く日 ~自立したい子ども VS 自立させたくない親思春期の子どもの自立と親子関係について綴るシリーズ記事です。自立を望む子供の心理と生き方のヒント、反抗期の子供と向き合うコツを掲載しています。