両親が離婚しても、家族は心で繋がる ファミリーコメディの傑作『ミセス・ダウト』

ハリウッドの良心を煮詰めたようなファミリードラマの傑作『ミセス・ダウト』
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ロビン・ウィリアムスの映画『ミセス・ダウト』

作品の概要

ミセス・ダウト (1993年) - Mrs. Doubtfire (ダウトファイアは放火疑いこと)

監督 : クリス・コロンバス
主演 : ロビン・ウィリアムス(ダニエル・ヒラード)、サリー・フィールド(ダニエルの妻・ミランダ)、ピアーズ・プロスナン(ミランダの大学時代の恋人・スチュワート)

本作は、山寺宏一が吹き替えており、声の演技が素晴らしい。
他の声優陣も秀逸で、字幕版・吹替え版、両方を鑑賞されることをおすすめする。

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あらすじ
売れない声優のダニエル・ヒラードは、リディア、クリス、ナタリーという三人の子の父親だが、子供を喜ばせるためなら、家をパーティー会場にして、どんちゃん騒ぎにするほどの問題児。妻のミランダは、インテリアデザイナーとして働きながら、必死で家庭を支えてきたが、とうとう堪忍袋の緒が切れて、離婚を申し渡す。
家裁の決定により、ダニエルは子供から引き離され、週一回しか面会できなくなってしまう。
子供達も悲しみに沈む中、メイクアップ・アーティストの兄の手を借りて、イギリス出身のお洒落な家政婦ミセス・ダウトに変身。正体を隠して、ミランダの家に出入りするようになる。
愉快で、働き者のミセス・ダウトに子供達も懐き、ミランダも、同じ女同士、心から語り合うようになる。
一方、ミランダは、大学時代の恋人、スチュワートに再会し、二人は急接近。このままでは子供たちも横取りされてしまう。
焦ったダニエル=ミセス・ダウトは、

両親が離婚しても、家族は心で繋がる

本作は、プロットもさることながら、個々のキャラクター設定が素晴らしい、ファミリーコメディの傑作だ。

『これぞ、ハリウッド』みたいな優しさ、ユーモア、ウィットが随所にちりばめられ、世代を超えて楽しめる良作である。

お互いに悪い人間ではないのだが、どうしても考え方が合わず、やむなく離婚となるダニエルとミランダ。

夫婦関係の修復は不可能でも、子供には未練たらたらで、ダニエルは、どうにかして一緒に過ごす手立てはないかと考える。

そこで思いついたのが、得意の声の演技を活かして、女性になりすまし、家政婦として愛する我が家に出入りすることだ。

弟のメイクアップアーティスト(フランクを演じるハーヴェイ・ファイアスタインは、映画『インディペンデンス・デイ』でも、ちょっとカマっぽい脇役を演じている)の手を借りて、上品な英国婦人に化けたダニエルは、まんまとミランダを騙して、家政婦の職を得る。

だが、ミランダはまったく気づかず、家事の全てを知り尽くした『ミセス・ダウト』(自分の家なのだから、何でも知っていて当然)に安らぎを感じ、次第に心を開くようになる。

本作では、この元夫婦の会話が大きなポイントになっている。

たとえば、「ダニエルの何が問題だったの?」と尋ねるミセス・ダウトに、ミランダは正直に答える。

「ダニエルのことが嫌いになったわけじゃない。ダニエルと一緒に居る自分が嫌になったのよ」

ダニエルには面と向かって言えなかったことが、ミセス・ダウトには安心して打ち明けることができる。

結婚中も、そんな風に語り合えば、離婚も回避できただろうに、何とも皮肉な話である。

まあ、それが出来るなら、この世から「性格の不一致」が原因の離婚など無くなるのだが。

また、ダニエルも、ミセス・ダウトとして家事を請け負うようになってから、掃除や料理と真剣に向かい合うようになる。

そうなって、初めて、仕事と家事を両立してきたミランダの苦労が分かる。

自分の仕事が無いなら、せめて家事で協力すれば何とかなっただろうに、人間というのは、渦中にいる時は、本当に気づかないものなのだ。

だが、それが結果的に、職業人としての自制心や芸の向上に繋がるのだから、人生は分からない。

人間、自分の好きな仕事さえしておれば、チャンスが廻ってくる訳ではないことを改めて思い知らされる。

こうした偽りの友情に割り込んでくるのが、元恋人のスチュワートだ。

洒落た独身者で、成功者でもある、スチュワート・ダンマイアを、007シリーズでお馴染みのピアース・ブロスナンが好演。

プールサイドのバーで、にやにやしながらカクテルを飲む場面は、さすが007と言いたくなるような色男ぶりだし、レストランでの騒動もコミカルに演じて、なんと魅力的な役者さんかと惚れ直す。

007のイメージがあまりに強烈なので、イケメン・アクション俳優と思いがちだが、ピアーズの本分は、やはりヒューマンドラマであり、コメディではないかと思うことしきりだ。それでも銃を構える姿は、ダニエル・クレイグよりセクシーだが(^_^;

ともあれ、「単なるコメディ」では括れない奥深さがあり、そのメッセージは、終盤、TV番組の人気者となった「ミセス・ダウトファイアー」から視聴者の女の子への回答に集約されている。

視聴者からのお便り;
「ダウトファイアーさんへ。パパとママは二ヶ月前に別れました。お兄ちゃんは「うちはもう、家族じゃない」と言っています。それは本当ですか? わたしの家族はなくなっちゃったんですか? パパとママが仲直りできる方法を教えてください。ケイティ・マコーミック」

ダウトファイアーの回答;
「あのね、ケイティちゃん。しょっちゅう喧嘩するパパとママは別々に住んだ方が仲よしでいられることがあるの。だって、離れていてば、喧嘩なんてできないないでしょう? その方がいいパパとママでいられるの。中には、また一緒に暮らす人たちもいるし、ずっと別れた人のままもいる。でも、そうなっても、絶対にあなたのせいじゃない。パパとママが愛し合ってなくても、あなたへの愛は変わらないの。世の中にはいろんな家族があるの。ママしかいないお家。パパしかいないお家。パパとママが二人ずつの子もいる。おじさんやおばさんと一緒の子もいるし、お祖父さんやお祖母さんに育てられたり、養子になる子もいるわ。同じ家に住む家族、別々に住む家族、きょうだいが遠く離れて、めったに会えない家族もある。何ヶ月も会えなかったり、何年も会えないこともある。でも、愛がある限り、あなたたちは繋がっている。家族って、心と心で結びついているのよ。あなたに私の愛を送るわ。がんばってね」

これほど重厚なテーマが、最後にさらりと語られる点でも非常に好感度が高い。

近年の政治的なファミリードラマに食傷気味な方も、一度、鑑賞してはいかがだろうか。

*

本作は、特殊メイク担当のグレッグ・キャノンがアカデミーメイクアップ賞を受賞している。
氏は、ジム・キャリーの緑の仮面がユニークな「マスク」や「タイタニック」でもメイクを手がけている。
特殊メイクとロビン・ウィリアムスの好演が相成って、忘れがたい一場面となっている。

ロビン・ウィリアムスが最高に輝いていた頃の名場面。カメラワークも素晴らしく、役者の魅力が満面に輝いている。

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