本気で恋すれば傷つく ~辛い恋だからこそ身に付く知恵と強さがある

帰る場所をもたず、海から海を渡り歩くヴァルター・フォーゲルと、風来坊のような彼に恋してしまうリズ。

知人に「結婚するの?」と訊かれて、答える台詞が次の通り。

この箇所は最終的にボツにしましたが、「本気で恋すれば傷つく」という台詞は好きです。

私には彼がそれを望むとは思えない。

羽を休めにふらりと港に戻っても、次の瞬間には何かを求めて飛び立ってしまう。

まるでこの世の何所にも慰めなどないみたい。

私が愛しても、あの人はいつでも海の向こうを求めて止まない。

本気で恋すれば、傷つく……。

曙光 MORGENROOD 第三章・海洋情報ネットワーク

世の中には本気で恋しない方がいい相手もいますが、そういう男性に限って、他にはない魅力があり、女性を強く惹きつけるんですね。

ヴァルター・フォーゲルもそんな男性の典型例です。

社長令嬢のリズが、世間体や親の価値観に縛られて生きているのとは対照的に、ヴァルターは何ものにも縛られず、独立独歩で己の道を行く。

そんな彼の飄々としたところ、また独立独歩の人らしい強さと知恵が、リズにはたまらなく魅力に見えます。

一方、彼が女性との愛に定住を求めるタイプでないことは、誰よりもリズが一番よく知っています。

だから「本気で恋すれば傷つく」のです。

そんなリズに対する父親からのアドバイスは『失恋した時、どうするか ~拒絶の中でも、学ぶ者は学ぶ

ぶつかり、傷つき、落ち込みながらも、リズは懸命に愛の何たるかを学びます。

そんな彼女を遠ざけようとする彼自身が、実は誰よりも彼女の良さを理解し、心惹かれているというオチです。

本気で恋すれば傷つくと分かっていても、あえて、その中に飛び込んでみる。

その勇気が、愛に必要な知恵と心の強さを育むのではないでしょうか。

目次
閉じる