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【8】 楽劇『ローエングリン』もう一つのエンディング ~誰かを本当に愛したら

QUOTE 愛とは相手の過ちも赦して最後まで添い遂げること
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楽劇『ローエングリン』について

楽劇『ローエングリン』は、ドイツの作曲家、リヒャルト・ワーグナーの代表作で、1845年8月より台本のスケッチを始め、1848年3月に完成しました。

ブラバント公国の姫君エルザは、将来、国の後継ぎとなる弟ゴットフリートの殺害を疑われ、テルラムント伯ゴットフリートと、その妻オルトルートに告訴されます。

仲裁に乗り出したハインリヒ王は、エルザの名誉のために戦う騎士はないか? と問いかけますが、名乗り出る者はありません。

そこに、白鳥の曳く小舟に乗って、見目麗しい騎士がやって来ます。

白鳥の騎士は、「自分の氏素性を決して尋ねてはならない」を条件に、エルザの為にテルラムント伯と剣を交え、見事に打ち倒して、エルザと結婚します。

ところが、命からがら逃げ出したテルラムント伯とオルトルートは白鳥の騎士に復讐を誓い、新婚のエルザに「あの男は魔法使いだ」と吹きこんで、疑念を搔き立てます。

不安になったエルザは、新婚の床で、とうとう白鳥の騎士に「名前を教えて下さい」と尋ね、結婚の誓いも破られます。

白鳥の騎士は、エルザとブラバントの人々に、「わたしは聖杯王パルシファルの息子、ローエングリンである」と名乗り、その場から去って行きます。

それと入れ違うように行方不明だった弟ゴットフリートが姿を表し、ブラバント公国も救われますが、愛する人を失ったエルザはその場に倒れる……という筋書きです。

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光のさざ波のように美しいこの曲は、現代では高い評価を得ていますが、完成当時は上演してくれる劇場もなく、ワーグナーは悲嘆に暮れていました。前作『さまよえるオランダ人』と『タンホイザー』が、「長い」「暗い」「難解」と、あまりに評判が悪く、どの劇場も相手にしてくれなかったからです。

しかし、1850年、フランツ・リストとの出会いが、この曲の運命を大きく変えました。

旋律の美しさに感涙したリストは、『ローエングリン』の上演に尽力し、1850年8月28日、自らの指揮によって初演を成功させました。

以後、ワーグナーの名声も徐々に高まり、大作曲家への道を突き進みます。

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やがて、ワーグナーの音楽は、理想家で、文化芸術に造詣の深いバイエルン国王ルートヴィヒⅡ世の心も鷲掴みにします。

ワーグナーに魅せられたルートヴィヒⅡ世は、困窮するワーグナーを経済的に支援しただけでなく、バイロイト祝祭劇場の建設にも助力し、ノイシュヴァンシュタイン城をはじめ、数々の歴史的遺産を残しました。一方、ルートヴィヒⅡ世の壮大な夢はバイエルンの財政を悪化させ、ついには廃位を迫られ、シュタルンベルク湖で謎の死を遂げます。
(詳しくは、現実社会と魂の居場所 映画『ルートヴィヒ』(2012年)とバイロイト祝祭劇場の旅行記をご参照下さい)

また、第二次大戦下においても、国民感情の高揚に利用されたように、ワーグナーの音楽には人を狂わせる魅力があり、一般には『ワーグナー中毒』、それに取り憑かれた人のことを『ワグネリアン』と呼びます。

本作にも、『ローエングリン』の観劇がきっかけでワグネリアになった少年グンターが登場します。

白鳥の騎士ローエングリンと、ブラバント公国の姫君エルザの悲恋を描いた楽劇『ローエングリン』は、ワーグナーの作品の中でも白眉のもので、特に華麗な第三幕・前奏曲と、それに続く『まごころこめて導かれ(婚礼の歌)は、『結婚行進曲』として世界中で愛されています。(ただし、ローエングリンとエルザは破局するので、ストーリー的には不吉な曲と言われています)

しかしながら、ワーグナーの台本に疑問を抱いた少年は、自分の思い込みでエンディングを書き換えてしまうのです……。

楽劇『ローエングリン』については、下記URLでも詳しく紹介しています。

● ワーグナー 楽劇『ローエングリン』 あらすじと昭和の名盤 ペーター・ホフマン
各場面の詳細と、「理想のローエングリン」と呼ばれたペーター・ホフマンの歌唱を動画とSpotifyで紹介。
● ルネ・コロの『ローエングリン』 楽曲解説 / カラヤンと対立の経緯(ザルツブルグ音楽祭 1976年)
昭和の名ヘルデン・テノール、ルネ・コロと、帝王カラヤンの確執をめぐるエピソードが興味深い。詳細な楽曲解説と併せて。

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