生命の始まりは微生物 ~今日の利益か、数億年後の生命か In 第1章 運命と意思 生 優秀な潜水艇パイロットでありながら、自暴自棄を起こしてトレーラーに引きこもるヴァルターの元にアルが訪ねて来る。アルの海洋開発に対して、ヴァルターは微生物の億単位の宇宙的価値を説いて、アルを愚弄する。アルは「屁理屈だけは超一流。くだらんプライドだ」と嘲り、「君の負い目は海でしか返せない。それが運命だ...
世界は意思の表象 ~締め切り大堤防とショーペンハウアー In 第1章 運命と意思 世 父親と喧嘩して家を飛び出した高校生のグンターは、ブレーメン行きの列車の中でショーペンハウアーの名著『意思と表象の世界』を読み耽る少女に出会う。少女は彼の悩みを聞くと、「アフシュライトダイク(締め切り大堤防)に行ってみれば?」とアドバイスする。...
海は生きとし生けるもの すべての故郷 In 第1章 運命と意思 海 父グンターの必死の努力も空しく、フェールダムの締切堤防は決壊し、幾多の作業員と共に命も失われる。母のアンヌ=マリーは、息子のヴァルターを連れて、アンヌの故国フランスに近いフォンヴィエイユの港町に移り住む。悲しみに暮れるヴァルターの心を癒やしたのは、地中海の美しい眺めと、母が優しく歌うシャンソンの名...
今行なうか、永遠に成さないか ~Nunc aut numquam In 第1章 運命と意思 今 海洋惑星アステリアの研修旅行に参加したアルは海の深さと海中技術の困難を思い知る。それでも諦めきれないアルは、雲明に翻弄されながらも「今行なうか、永遠に成さないか」を砂浜に誓う。
人こそ資本 ~自分を捨てることは一切の可能性を捨てること In 第1章 運命と意思 人 アル・マクダエルの祖父ノアは、画期的なニムロイド精製法『真空直接電解法』でファルコン・グループの権勢に風穴を開け、世の流れを一気に傾ける。...
創造的であることが、あらゆる苦悩から我々を解き放ってくれる In 第1章 運命と意思 創 大洪水から6年の歳月が経っても未だ悪夢と喪失感に苦しむヴァルターは同郷の大学教授の講演に足を運ぶ。「人間とは乗り越えられるものだよ」と髭の教授は言った。「創造的であることが、あらゆる苦悩から我々を救ってくれる。傷つき、苦しむ自分を恥じなくなった時、本当の意味で君は悲劇から自由になれる」と励まされ、...