あらすじとキャラクター紹介 作品の概要

【21】 愛とは過ちも許すこと ~何度生まれ変わっても、同じ道を選ぶ

愛とは過ちも許すこと ~何度生まれ変わっても、同じ道を選ぶ
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海洋小説 MORGENROOD -曙光 より


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目次 🏃

愛とは過ちも許すこと ~何度生まれ変わっても、同じ道を選ぶ

祖父との再会 ~それが愛というもの

商船学校は楽しかった。

大好きな海と船の講義なら、砂に水が染み込むように頭に入る。動力エンジンや操舵パネル、通信機器など、機械いじりも刺激的だ。いつかアルベール一世やジャック=イヴ・クストーのように世界中の海を旅して回りたい。

母は週に一度、面会に訪れたが、ほとんど話すこともなく、半時間で別れた。時々、余計な小遣いを持たせようとしたが、それも突き返した。ジャン・ラクロワの息のかかったものは一銭たりと受け取りたくなかった。

学費は奨学金と父が遺してくれた貯蓄でまかなった。小遣いは倉庫の検品や梱包作業、公共施設の清掃など単発のアルバイトで稼ぐ。欲しい物といえばパソコンと自転車のアクセサリーぐらい。月に一度、レストランで濃厚なブイヤベースをお腹いっぱい食べられたら満足だった。

クリスマス休暇には、初めて一人でカールスルーエの祖父を訪ねた。

彼も十六歳になり、バスや飛行機を自分で乗り継ぐことができる。

祖父も孫の為に大人の顔ほどあるシュニッツェルを作り、高級菓子店から大好物のバームクーヘンとアーモンドシュトレンを取り寄せて、手厚くもてなしてくれた。

クリスマスにはハンブルクの叔父やミュンヘンの親族もやって来て、久しぶりに家族の団らんを楽しんだ。自分にとって本当に家族と言えるのは父方だけだ。彼の頑固で激しい気性もそれなりに理解してくれて、余計で肉親の温もりが身にしみる。

あっという間に休暇も過ぎ、マルセイユに帰る前日の夕方、祖父と二人でライン川の河川敷を散歩した。黄金色に輝く空の下、悠々と流れるライン川を見ていると、その先にあるフェールダムを思い出す。

水に沈んだ田畑や運河沿いの家はどうなっただろう。

父が命懸けで守ろうとした締切堤防は?

川縁のベンチで涙を拭うと、祖父は皺だらけの大きな手で彼の頭を撫で、

「泣きたい時は思い切り泣けばいい。父親を亡くした悲しみなど、一、二年で癒えるものではない。まして突然の別れだった。子供に耐えられるものではない」

と慰めてくれた。

祖父の肩にもたれ、ひとしきり泣いた後、「お祖父さん、俺はとても悪い子なんだよ」と胸にたまったものを打ち明けた。

どうしても母と上手くやれないこと。

上級生に誘われて薬物を口にしたこと。

今も心の奥底で父の行動が納得できず、恨みがましい気持ちを抱き続けていること。その為にずっと罪悪感に苛まれていること……。

祖父は黙って彼の話に耳を傾けていたが、

「だとしても、グンターはそれを許せる人間だ。それが愛というものだよ」

と静かな口調で答えた。

「グンターはわたしの自慢の息子だった。幼い時から真っ直ぐで、思慮深く、時に優柔ではあったが、卑怯者だったことは一度もない。きっと、あの晩もぎりぎりまで迷っただろう。君やお母さんと一緒に逃げたいと願ったはずだ。だが、最後には堤防を守りに戻った。なぜか? それがグンター・フォーゲルという人間だからだよ。理屈ではなく、そういう魂に生まれついた。きっと何度生まれ変わっても、同じ道を選ぶだろう。だから君も父親を信じなさい。それだけが君を正しい方向へ導く」

帰路に就く頃には気持ちも和らぎ、お土産のバームクーヘンを紙袋いっぱいに抱えて空港行きのバスに乗り込んだ。「何かあったら、いつでも訪ねてきなさい」という祖父の言葉に励まされ、彼にも一つだけ帰る場所があることを実感する。

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【20】 処世の知恵と真理の違い 『人は魂で生き、理性で現世を渡る』 最愛の父を亡くしたヴァルターは経済的理由から母の昔の婚約者で再婚相手の家に身を寄せるが、継父のラクロワ氏は父とは全く異なる価値観の持ち主だった。ラクロワ氏の説く処世術はどれも納得いくものだったが、父の教えの方が心にしみる。真理は処世とは異なることを実感するうち、継父への不信感を募らせていく。心のコラム『処世の知恵と真理の違い』と併せて。
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【22】 深海とは、もう一つの宇宙 ~有人潜水調査船と海洋調査 商船学校に進学したヴァルターは特別研修で海洋調査船ネプチューヌ号に乗船し、有人潜水艇プロテウスの潜航を見学する。父の死のトラウマで死の世界と思っていた深海が生命に満ち溢れたダイナミックな世界と知り、潜水艇パイロットを志す。堀田宏氏の著書『深海底からみた地球』の概要と有人潜水調査船『しんかい6500』、深海のダイナミズムを動画で紹介しています。
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