人生を生きることは、運命の女神との闘い

陽は落ちてもまた廻り、同じ光を投げかけてくれる ~人が迷わず明日に立ち向かう為にの続きです。

作品冒頭の、アルの独白の第六稿です。

陽は疲れを知らぬコークスのように燃え、空や大地を赤々と照らしている。

やがて地平線の彼方に消え去ると知りながら。

時は、何かを成そうとする人間の傍らを無情に通り過ぎて行く。

その頭上で、運命の女神(フォルトゥナ)は、『Wheel of Fortune』を廻し、絶頂から奈落へ、奈落から絶頂へ、人間を翻弄して、その身魂を試す。

人生を生きるということは、運命の女神との闘いだ。

運命の女神の試練に負けた時、人生もまた閉じる。

女神の与えた課題に屈することなく、多くを学び取った者だけが、より高みに到達することが出来るだろう。

そして、その勝利の杯は、同じ意志もつ人間によって未来へと受け継がれてゆくのだ。

陽は落ちてもまた昇るように、運命もまた廻る。

いつかこの世を去る日が来ても、永遠なるものは時を超えて生き続けるだろう。

『いまだ光を放たざる、いとあまたの曙光あり』

アルが真に掘り出したいのは、海に眠る光の萌芽かもしれない。

第一章『運命と意思』の2000年第六稿より

生まれてから死ぬまで、平穏無事に終わる人など、まずありません。

病気や災害とは無縁でも、失恋、孤独、失敗、誤解など、人を苦しめる出来事はいくらでもあります。

むしろ上手くいくことより、いかない事の方が多く、人生そのものが試練といっても過言ではありません。

人生もRPGと同じ。

どれだけ良い事があったかより、どんな風に乗り越えたかの方がうんと重要で、手に入れたアイテムも、倒した敵の数も、ゲームが終わってみれば、ただの目安でしかありません。

ゲームの勝敗とゲームの満足度は、また別の話なんですね。

この世においては、約束された成功も幸福もなく、毎日が運命の女神との闘いです。

エベレストに登頂した者にしか見えない景色があるように、打ち勝った者にしか分からない価値があるような気がします。

*

ちなみにボツにしたのは、説教くさいからです。

2017年の完成稿に比べたら、あまりのクドさに疲れます。

完成稿はこちらです。

興味のある方は読み比べてみて下さい。

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