魂の幸福とは、自身を肯定し『それでよし!』と思える気持ち ~ニーチェの生の哲学

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【小説】 魂の幸福とは、自身を肯定し『それでよし!』と思える気持ち

第一章 ローエングリン・大堤防(6)
物語

言葉の問題を克服するが、級友に『鼻づまり』と馬鹿にされ「死にたい」と打ち明けるヴァルター。父親のグンターは何と励ませばいいのか分からない。母はニーチェの『ツァラトゥストラ』の冒頭を語り、肝心なのは自身を肯定し、「それでよし」と思える気持ちだと諭す。

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【コラム】 自分に『よし!』と言えますか?

人間がこの世で生きていく上で、一番辛く感じるのは『劣等感』ではないでしょうか。

周りを見回せば、社会的にも、能力的にも、自分より優れた人はたくさんいますし、容姿、財産、住まい、肩書き、アップロードした写真や「いいね」の数まで、比較すればきりがありません。

それは時に妬みや絶望となって心を蝕み、本来、その人が持っている能力まで損ねてしまいます。

本作では『言葉の問題』にフォーカスして、生きる自己肯定について説明しています。

息子ヴァルターの言葉の問題に気付いたグンターは、「今直さなければ、将来落ちこぼれて、大変な不幸になる」と考え、あちこちの医療機関や児童施設を訪ねて回ります。それは決して強制や否定ではなかったのですが、結果的に、息子の気持ちを傷つけ、悪い方に追い込んでしまいます。

そして、ようやくオステルハウト先生という理解力のある先生に巡り会い、問題克服の突破口が開けるのですが、身内の中で改善しても、社会に出れば否応なしに周りと比較され、苛められます。

劣等感に苛まれ、生きる自信を無くしたヴァルターは「死にたい」と言い出して父親を慌てさせますが、それに対して『自己肯定』の精神を説いたのがお祖母さんでした。

自己肯定の精神は、代々、読み継がれたニーチェの著書『ツァラトゥストラ』のテーマでもあります。

「この人生をもう一度生きてもいい(永劫回帰)」と思えるほどに、自分自身と生きることを愛する。

それが本当の意味での問題解決=自己超克だと、悩むグンターに言って聞かせるのです。

そして、そのことをヴァルターにも伝えようとしますが、小さい息子に永劫回帰の思想など分かるはずもありません。

そこで『永遠の円環リング』という一つの比喩を用いて、永劫回帰の考えを教えようとします。

それが後々、『円環の海洋都市=リング』という形に結晶するのが本作の主旨です。

人生に正解はない……と言われますが、自己肯定できる人生と、できない人生の間には大きな開きがあります。

たとえ言葉に問題があっても、容姿や能力で他より劣ろうと、自分で自分に「よし」と言えて、もう一度、生きてもいいなと思えるほど、その人生を楽しむことができたら、それは何ものにも脅かされることのない、最高の幸福ではないでしょうか。

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Notes of Life

正しい意見は人を安心させるが、魂までは救いません。 正しいことしか言えない人は、実は何も分かってないのでしょう。 私たちは人間の負の面を知り、寄り添うことによって、初めて人間として完成します。 光がこの世の全てではないのです。

この記事を書いた人

MOKOのアバター MOKO 著者

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。アニメから古典文学まで幅広く親しむ雑色系。科学と文芸が融合した新感覚のSF小説を手がけています。看護師として医療機関に勤務後、東欧に移住。石田朋子。
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自己肯定感を高めたければ、誰かの役に立つのが一番の近道です。 いきなり人の中に入るのが怖ければ、小さな鉢植えでいいので、大事に育ててみましょう。 自分みたいな人間でも必要とされていることが分かれば自尊心も高まり、自信に繋がります。
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