オープンデータベース・システム ~産業振興の知的基盤を構築する

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【コラム】 知のインフラ : オープンデータベース・システム

『オープンデータベース・システム』という概念があります。

民間企業や公的機関が営利もしくは非営利で収集したデータを広く共有し、産業やインフラ整備や行政の監理に役立てるものです。

本作に登場する鉱業資源データベースは、鉱業輸出国で実際に使われているオープンデータベース・システムをモデルにしています。

一見、「どこに、どんな鉱物資源が存在するか」、広く共有されたら、民間企業も公的機関も損するように感じますね。

「ここ掘れ、ワンワン」と世界中に知らしめているようなものですから。

ですが、共有される情報はあくまで汎用で、企業機密に相当するような子細な情報まで公開されません。

漁業に喩えると、「この海域にマグロがたくさんいますよ」「沿岸部の潮流や波高は穏やかですよ」といったヒントを与えるだけで、どうすればマグロがたくさん獲れるかという秘密のノウハウまでは公開しないのです。それがオープンなデータと機密データの違いです。

それでも、「この海域にマグロがたくさんいますよ」「沿岸部の潮流や波高は穏やかですよ」という情報を広く共有すれば、漁業関係者も注目するし、海の安全や科学研究にも大いに役立ちますね。

鉱業資源データベースもそれと同じ、「この辺りに、どういった鉱物が存在します」「一帯の地質や地層はこうです」とオープンにすることで、鉱業関係者も投資や開発がしやすくなります。せっかく大きなポテンシャルを秘めているのに、誰にも何も知らせなかったら存在しないのと同じです。

リズとヴァルターが構築しようとしているのは、鉱物資源データベースの海洋版です。

海洋についても、海象、海底地形、産業の可能性、等々、基礎的な知識と技術を共有することにより、科学や産業など、様々な分野の関係者が注目します。

産官学が連携し、海の可能性を積極的に世界にPRすることが、技術の底上げや発展に繋がるのです。

【小説】 鉱物資源データベースについて

ローランド島から戻ったヴァルターは、海洋情報ネットワークの構築に向けて、企業や関連団体に対してヒアリングを開始する。
当初、ヒアリングは困難を極めていたが、外交の得意なリズが手伝うようになってから弾みがつき、肯定的な意見も聞かれるようになる。
そんな折り、鉱業資源データベースの存在を知り、海洋情報ネットワークの概念と非常に類似していることに気付く。
ヴァルターとリズは鉱物資源課のナイジェルを尋ね、鉱物資源データベースの実際を見学する。

関連のあるエピソード → 海洋情報ネットワーク 海洋社会の知的基盤を強化する

このパートは『第三章・海洋情報ネットワーク』の抜粋です。作品詳細はこちら

【リファレンス】 海の産業を創出する

日本にも海水から工業用水酸化マグネシウムや酸化マグネシウムを製造したり。

タテホ化学工業株式会社
タテホ化学工業

業務用・家庭用の塩を製造したり。

日本海水株式会社
日本海水株式会社 海洋化学工業

イオン交換膜を使った研究開発も盛んです。

http://www.keins.city.kawasaki.jp/content/ksw/2/ksw2_025-030.pdf
イオン交換膜 海洋化学工業

近年では海水からリチウムを効率よく回収する技術開発が盛んに行われています。いずれ実用化されるといいですね。

http://chemeng.env.kitakyu-u.ac.jp/research/Lithium.pdf
海水 リチウム 海洋化学工業

鉱物資源データベースについては、下記のような会社情報を参考にしています。
SGSグループ

こちらは総務省の提供する「地盤情報二次利用ガイドライン」。一般人にはとんと縁のない世界ですが、専門業になればニーズが高いのでしょう。こんなデータベース、普通に暮らしていたら、目にすることもなければ、存在も知りませんよね。それの「海洋情報版」を構築し、一般にも広く普及しようというのが『海洋情報ネットワーク』の趣旨です。

総務省 【地盤情報の公開・二次利用促進のためのガイド】

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