第二章　採鉱プラットフォーム– tax –

⑯ 父から独り立ちしたいリズは厳しい仕事場の一つである物流センターのアルバイトを始める。大変な作業だが物流は社会の有様を映し出す鏡でもある。一方、アルは娘に買い与えた高級車とテスト潜航費用を引き合いに娘を諭す。

⑰ ヴァルターはカリーナからアステリアの鉱業権と絶対的な影響力を誇る鉱山会社ファルコン・マイニング社の寡占について教えられる。だがヴァルターは情報共有によって寡占に歯止めがかけられると考えを述べる。

アル・マクダエルに見出され、海の惑星アステリアに来たヴァルターは想像以上に開発の進んだ湾岸風景に目を見張る。海底鉱物資源の採掘の懐疑的なヴァルターに、セスは鉱業の現状を語り「文明を支えるのは鉱業病でボロボロになった人の手」と諭す。資料として『現代文明とレアメタル ～金属資源がもたらす混乱と悲劇 / 戦略的物質としてのレアメタル / 豊富な資源が秩序の崩壊をもたらす ～コンゴ民主共和国 / 紛争メタル ～わたしたちにできること』

⑦ アルの愛娘リズは美貌の才媛ながら『アル・マクダエルの娘』という立場に縛られ、お洒落を楽しむ自由も、自分らしく生きる機会もない。そんなリズの願いは、愛し、愛され、生きる悦びを感じることだ。

父の不運な最期を知ったヴァルターは再び塞ぎ込み、翌日の接続ミッションもどうなるか分からない。マードック夫人は彼の心の傷に同情しながらも、ミッションの完遂を第一に考え、「引くも勇気、諦めるのも強さ」と説く。

【第30話】プロテウスは潜航開始するが、耐圧殻の中でヴァルターとエイドリアンはリズへの思いをめぐって恋のさや当てをする。
潜水艇の耐圧殻に関する動画を掲載。

採鉱システムを完成させる為、潜水艇パイロットのヴァルターは、大学生のアシスタント、エイドリアンを伴って水深3000メートルの深海に潜航する。水中無人機を使って、集鉱機とフレキシブルホースの接続に成功すると、続いて、揚鉱管の歪みセンサーの取り付けに挑戦する。資料『ROV（無人機）を使った接続作業 / ライザーパイプと歪みセンサーの取り付け /フレキシブルホースと集鉱機の接続』

⑩ マードックから接続ミッションの詳細を知らされたヴァルターは深海で揚鉱管を繋ぐ非常に危険な作業であることを知らされる。怒りと不安で愕然とするが、懐かしいプロテウスの船体を前にパイロットの誇らしい矜持を回想する。

【想像力で深海に潜る　～潜水艇で夢見る生命の世界】 潜水艇の格納庫にて　～失意のパイロット 午後三時。 会議を終えた重役らが娯楽室で一息つく間、リズはノエ・ラルーシュの案内でタワーデリックや作業甲板を見て回った。 高くそびえ立つタワーデリッ...

⑪ アルと愛娘リズの会話。リズはヴァルターに海に突き落とされたショックを受けていたが、その言動からヴァルターに心を惹かれ始めていることを感じ取ったアルは「流れ出る先が見つかれば、岩をも砕く激流になる」と評する。

【全てのものは形を変えながら永遠に廻る】 リズとヴァルターのくちづけのエピソードはこちらに描いています。 ・ クラゲを飼わない理由 ～海に出ている間、世話してくれる人がないから ・ くちづけの記憶 ～まともに女性と向き合ったこともなく 大海原と...

接続ミッションを完遂し、スタッフは祝賀ムードに包まれるが、アルだけはこれから起こりうる多難に表情を曇らせ、ヴァルターに目的を持つことの尊さを説く。
コラム『一つの人生に、一つの目的』と併せて。