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LOVE LOG 恋と生き方のエッセー

子供は生きているだけで「上等」、可愛いと思えるだけ「幸せ」

子供は生きているだけでスゴイ・親は子供を生かしているだけで使命の9割は全うしている

最近、私の友人が出産して、赤ちゃんが生まれて間もない頃の苦労を我が事のように思う。

産後の傷と疲れが癒えないまま、上手くゆかぬ授乳、深夜のオムツ替え、食事もままならぬ慌ただしい生活に洗濯の山……。

それまで生きてきて「大変」と思うことはいろいろあったが、育児に感じる「大変さ」というのは、仕事や人間関係の苦労とはひと味もふた味も違う。

たとえば仕事は自分が努力すればいくらでも状況を改善することができるし、イヤな人間関係は切ってしまえばそれでお終い。

一度痛い思いをすれば、後はどうとでも変えて行ける手立てがあり、「元気出してガンバロウ」という気持ちだけでいくらでも乗り越えてゆけたけど、育児の辛さや大変さは自分一人の気概だけではどうにもならない事がありすぎて、どんどん追い詰められてしまう。

その最大の理由は「命が懸かっているから」。将来、幸せ、健康、人間が生きるに必要なすべてのものが懸かっているから。

母親の「ちゃんとやらなきゃ」は、子供の命の重さと同じ、といってもいい。

だから、上手くできなきゃストレスになるし、自分が悪いのではないかと責めてしまう。そして辛くなる。

『子育て』って簡単に言うけど、人間一人、無事に生かすのも大変だよ。

彼ら、横断歩道の真ん中で虫を見つけたら、「あっ、可愛い~」と座り込むようなヤツラだもん。

信号も、車の怖さもわかってない。

そんなのが、ただ「楽しい」というだけではしゃぎまわり、町中を闊歩(?)してるんだから。

まだ犬を連れて散歩するほうがマシだとさえ思う。犬は首に鎖をつけることもできるし、危険を察知するとものすごい早足で逃げてくれるからね。

だから余計で思うの。

子供は、生きてるだけで『上等』、可愛いと思えるだけで『幸せ』だって。

平素、子供がそこでイタズラしてるのが当たり前だと思っているからイライラさせられるけど、一歩離れてみれば、小さな子供が事故や病気といった不幸に見舞われず、悪さするほどの体力と知恵をもって元気に遊んでいるだけでも奇跡みたなもンだ。

そして、それを「可愛い」と感じながら見つめられるだけ幸せだと思う。

本当に育児がノイローゼになるほど辛くなったら「可愛い」なんて気持ちすら湧いてこないから。

だから、これから育児する若い人には、あれやこれやと気負わず、生きてるだけで『上等』、可愛いと思えるだけ『幸せ』ということを大切に、子供との触れ合いを楽しんで欲しいな、と思う。

食事がどうとか、言葉がどうとか、「成さねばならぬ」の気持ちで子育てしたって暗い思い出しか残らない、その果てに子供が立派に育ったとしても、いつか空しくなる、少なくとも私の場合はそう。

今から考えれば、ほんっとにどうでもいいような、しょーもないこと、「バナナばっかり食べたがる」とか「30円のキャンディを欲しがる」とか「オムツがなかなか取れない」とか「スーパーの100円マシーンに乗りたいとダダをこねる」とか、そんなことにイライラカリカリして、「ちゃんと躾けなきゃ、よその子みたいに出来るようにしなきゃ」で過ごした頃のことを思うと、『損した』という気持ちしか湧いてこないもの。

たかが30円キャンディで葛藤するぐらいなら、一緒にペロペロするぐらいの気持ちでよかったんじゃないか、と。

『しつけ』なんて、どこかのお山に飛んで行け~~!

そう叫んでもいいんじゃないですか、時々は。

最近、子供がもっと小さかった時の写真やビデオを見返して、この頃、自分がどんな気持ちでいたか思い出すと、「もっとリクツ抜きに楽しめばよかったなぁ」とつくづく思います。

それだけ必死だった……と言えばそれまでだけど、子育てって、果たして「子供を一人前に育てる」だけが全てなのかな、と、そう思いません?

母親が子育てして幸せに感じない、だとしたら、たとえ子供がいい子に育っても、それは本当はちっとも幸せじゃないのかもしれません。

だから、当たり前のことなのだけど、子供のこと『可愛いっ!』と心の底から思えることは、本当はとても素晴らしいことなのです。

よく今まで生きてたな、我が子。(目を離した一瞬の隙に命を落とすのが幼児)

補足です。

「子供は生きているのが当たり前」と思っている人も多いかもしれませんが、全然、当たり前じゃないです。

うちもようやくハイティーンになって、つくづく思いますけど、『よく今まで生きてたな、我が子』。

幼児期の数々のアクシデントを思い返す度に、大事に至らなかったのが本当に不思議だし、「あの時の、もし」を考えると、今でも背筋がぞっとなります。

それぐらい、幼児が生き長らえるのは大変なこと。

それを実現しているお母さん、まじでスゴイ。

ほんっと、幼児なんて、いつ死んでもおかしくないですからね。

それは子供に何かあった時、身に染みて分かると思います。

というか、その時には、すでに遅し。

泣いて、叫んでも、元気な我が子は戻ってきません。

そう思うと、日々、生きているだけで本当に『上等』だと思うし、家の中をめちゃくちゃにされても、食事をぐちゃぐちゃにされても、可愛いと思えるだけ『幸せ』と思うんですよ。

こんな些細なことが叶わない親だっている。

それに比べればね…。

あまり難しく考えず、日々を楽しむのが一番です。

ほんとに、その一言に尽きます。

About the author

MOKO

作家・文芸愛好家。アニメから古典文学まで幅広く親しむ雑色系。科学と文芸が融合した新感覚の小説を手がけています。Amazonの著者ページ https://amzn.to/3btlNeX

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