文学・神話・キリスト教– category –
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罪の告白と改悛、愛と赦し ~神の視点を求めて
『キリスト教を理解することは神の愛を実践すること ~「赦す」「手放す」「委ねる」』にも書いていますが、『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』に限って言えば、キリスト教の心髄が非常に色濃く現われていると思います。 ある評伝では、ドストエフスキー... -
親に人生の主権を握られるな
精神的な親殺しにしくじると、子供は自分の死を考えるようになる。 最悪、肉体的な死をもって、激しい苦悶にけりを付けようとするだろう。 だが、それは本当に親の望みだろうか。 子供を永久に喪っても、貫くべきものがあるのだろうか。 * 子供は、時に究... -
人生には答えは無数にあるが、質問はたった一度しか出来ない
人生には、答えは無数にある しかし、質問はたった一度しか出来ない 《誰か故郷を想はざる》 角川文庫 自分に対しても、他人に対しても、真剣に質問と向かい合えるのは、若い一時期だけだ。 年を取り、知恵が付けば、「人生なんて、そんなもの」というお... -
詩心とは何か ~たとえ水に書いた詩が消えてしまっても、愛を思い出せるように
水になにを書き残すことが できるだろうか たぶんなにを書いても すぐ消えてしまうことだろう だが 私は水に書く詩人である 私は水に愛を書く たとえ 水に書いた詩が消えてしまっても 海に来るたびに 愛を思い出せるように 《寺山修司少女詩集》 角川文庫... -
生が終われば死も終わる ~死は、生きている人間の中のイメージに過ぎない
【死なんかこわくない】 高校生の質問 2月17日(土)このごろ、なんだか何もやる気がしない。土曜日だっていうのに、家へ帰って一日じゅうごろごろ。母に「なんですか、いい年して、そんなにゴロゴロしていたら太っちゃいますよ」。全くそうだ。自分でも覇気... -
獣性のままに生きるか、善性に殉じるか イソップ寓話『善と悪』
"イエスの言葉を聖なる教えとするなら、イソップ寓話は脈々と受け継がれてきた処世術のようなもの。 岩波文庫いわく『実は、歴史上の人物としてのイソップ(アイソーポス)が作ったと実証できる話はひとつもない、いわば「イソップ風」寓話集であるが、そ... -
「生きる」ということを10行くらいで書いて悩むような軽薄さを好まない
【生きることに悩む高校生への回答】 高校生のお便り ○月○日 何のために どんなふうに 生きればよいというのだ オレがいなくても オレが死んでも人間は動きまわる 時間はどんどん過ぎ去って 再び帰ることはない あのときは幼かったが 一所懸命生きていた ... -
男は死んでも櫻色 (三島由紀夫) / 武士道とは、死ぬ事と見付けたり
男は死んでも櫻色。切腹の前には 死んでも生気を失わない様に頬に紅をひき、唇に紅をひく作法があった。敵に封じて恥じない道徳は死の後までも自分を美しく装い自分を生気あるように見せるたしなみを必要とする。散り際の美学を説く三島由紀夫の名言。 -
罪の意識と良心の罰はいかに育まれるか ~新興宗教団体の犯罪から考察
学生時代、繁華街から帰ってきた同級生が「駅前で面白いものを配ってたよ」と一冊のパンフレットを見せてくれました。 ページを開いてみると、 「君には人生の目的がありますか?」 「充実した毎日を過ごしていますか?」 「本当に親しい友だちはいますか... -
楽劇『ローエングリン』
超個人主義に徹する貧しい大学生ロジオン・ラスコーリニコフは、『人間は凡人と非凡人とに分かれ、非凡人は既成道徳をも踏み越える権利を有する』 『一つの些細な犯罪は、数千の善事で償われる』という論理のもと、強欲な高利貸の老婆を殺害し、奪った金を有効に使おうとする。不朽の名作を米川正夫訳で紹介。読解におすすめの江川卓「謎解き 罪と罰」も併せて。