作品解説と『罪と罰』– tax –
ドストエフスキーの伝記と『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』に関する作品解説を紹介しています。
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イワンとアリョーシャの兄弟愛 江川卓の『謎とき カラマーゾフの兄弟』より ~桜んぼのジャムのエピソード
イワンとアリョーシャが大審問官について語り合う場面に登場する『桜んぼのジャム』を実際にロシアで食して感激した江川先生のエピソードを紹介。天国への入場券をつつしんでお返しするというイワンの心情と、カラマーゾフの血を受け継ぐアリョーシャの皇帝暗殺に関するコラムです。 -
ドストエフスキーの生涯と執筆の背景 ガリマール新評伝より ~葛藤する限り、人は神と共にある
難解・冗長で知られるドストエフスキーはどんな時代に生まれ、何に影響を受けて作家活動を開始したのか、ロシア史、文学史から読み解く詳伝より見どころを紹介。賭博、借金、投獄、女、波瀾万丈の人生の中でもロシアの行くべき道を模索し、人類の処方箋を探し求めたドストエフスキーの深い知性と義侠心がひしひしと伝わってくる良書。 -
オレオレ詐欺と現代のラスコーリニコフ ~金持ちの高齢者から騙し取るのは罪なのか?
『持てる者から奪えばいい』というオレオレ詐欺の論理はなぜ間違いなのか。個人が勝手な正義を行使することで社会不安は増大し、その人自身も幸福にしない。『罪と罰』のラスコーリニコフの主張をテーマに現代の問題点を読み解くコラム。『一つの殺人で、数千の生命が堕落と腐敗から救われるとしたら?』『利己主義の蔓延』『持てる者から奪うことは正義なのか?』 -
江川卓の『謎とき 罪と罰』 ~「罰とは何か」「ラスコーリニコフとソーニャの関係」「心情の美しさ ~文学者に恋をして」
ドストエフスキーの解説本『謎とき 罪と罰』より「罰とは何か」「ラスコーリニコフとソーニャの関係」について江川氏の見解を紹介。刑法やキリスト教、ロシア語の言い回しや部屋の描写などから作品に込められたメッセージを読み解く。「はじめに」に記された高校時代の思い出も秀逸。ドストエフスキーと『罪と罰』がもっと好きになるファン必読の書。 -
『カラマーゾフの兄弟』江川卓訳をお探しの方へ(原卓也訳との比較あり)
絶版になって久しい江川卓訳『世界文学全集(集英社)』のカラマーゾフの兄弟を抜粋と写真で紹介。現代的で読みやすい訳文です。原卓也訳との比較も掲載。2021年はドストエフスキーの生誕200年のアニバーサリーイヤーにつき文庫化の可能性もあり。興味のある方は復刊リクエストにご協力下さい。 -
ドストエフスキーという作家の全てが凝縮した『カラマーゾフの兄弟』~作者より
ドストエフスキー最後の大作『カラマーゾフの兄弟』は主人公アレクセイ・カラマーゾフに詳しい”書き手”の回想録として始まる。「これが蛇足だという意見には、私もまったく同感だが、なにせもう書いてしまったものであるし、このまま残しておくことにしよう」の一文に長文体質ドストエフスキーの性情が感じられる。
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