ゾシマ長老– tax –
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ラチーキンは裏切り者のユダ? 嫉妬が悪意に変わる時(12)
アリョーシャの秘めた好色と生きる意欲の源泉、ラキーチンの野心とカラマーゾフ一族に対する屈折した感情が見え隠れするスリリングな場面。江川卓氏の解説を交えて、幻の後編に描かれたかもしれない皇帝暗殺計画についてコメント。 -
『どうしてこんな人間が生きているんだ!』 なぜゾシマ長老は大地に頭を垂れたのか(11)
本作屈指の名場面。ドミートリイはなぜ「こんな人間が生きているんだ」と嘆き、ゾシマ長老は「お赦しくだされ」と彼に頭を下げたのか。その後の悲劇を示唆する内容で、非常にドラマティックな一幕の解説。 -
人類一般を愛すれば、個々への愛は薄くなる ~愛の実践には厳しさを伴う(9)
声高々に愛を説く人ほど身近な人間を愛せなかったりする。愛を実践することではなく、慈愛の人と賞讃されることが目的になれば、面倒を避け、愛するという本来の目的からかけ離れてしまうからだ。ゾシマ長老は行動する愛の厳しさを説く。 -
自分にも他人にも嘘をつけば真実が分からなくなる フョードルの実体とは?(7)
僧院でもふざけた態度を取り続けるフョードルに、ゾシマ長老は「自分自身に嘘をつけば、自分のうちにも周囲にも真実が見分けられなくなり、自分にも他人にも尊敬を抱けなくなる」と諭す。長老の洞察力とフョードルの真の姿が垣間見える場面。 -
神は罪を犯した者を、罪のままに愛してくださる ~ゾシマ長老の言葉(8)
高徳の僧ゾシマの元に救いを求めて信者の女性が次々の訪れる。子を亡くした母親、年寄りの連れ合いに虐げられた女性、彼女らの訴えに耳を傾けながら、ゾシマは慰めの言葉をかける。 -
リアリストは自分が信じたいものを信じる ~アリョーシャの魅力と未来への伏線(5)
『リアリストにあっては、奇跡から信仰が生まれるのではなく、信仰から奇跡が生まれるのだ』。自身の意思によって神の道に進むことを決めたアリョーシャは、高徳の長老ゾシマに多大な影響を受ける。純粋な信仰心は後の『大審問官』への伏線となり、無神論を乗り越える原動力となる。 -
キリスト教徒の社会主義者は無神論者の社会主義者より恐ろしい ~ゾシマ長老とイワンの問答より(10)
国家が罪人に刑罰を科しても魂が救われるわけではない。真に人間を救済するのはキリスト教会であり、国家が教会そのものになるべきという熱い議論が交わされる難解なパート。『キリスト教徒の社会主義者は無神論者の社会主義者より恐ろしい』はアリョーシャの未来を示す?
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