フョードル– tax –
-
性があるから人間らしく生きていける 『好色な人々』の真摯な生き様(14)
カラマーゾフの兄弟の登場人物は揃って『好色』とされるが、ドストエフスキーは性を揶揄するのではなく、人間から切り離せない生きる力として描いている。科学の発達した現代と19世紀の性に対する考え方についての考察。 -
淫蕩父 フョードル・カラマーゾフ 指針を欠いたロシア的でたらめさ (1)
不幸の元凶である淫蕩父は金勘定に長けた地方の小地主。愛も責任も持ちあわせない結婚をして、幼い長男ドミートリイを放り出す。右に左に迷走するロシア社会のでたらめさを体現するような人物で、非情というよりは、心の指針を欠いた俗物であるのがありありと解る。 -
慈愛と優しさの違いとは ~いやな臭いのリザヴェータと聖痴愚(ユロージヴイ)(15)
シュメルジィ(臭い)の呼び名をもつ白痴女のリザヴェータに対する町民の優しさと男たちの下品な欲望について、江川卓氏の解説を交えながら、スメルジャコフのルーツを説く。 -
現代は自由主義のご時世、汽船と鉄道の時代ですぜ! 時代の変化の先の『救済』とは (13)
社会の変化は人々の価値観やライフスタイルを否応なしに変え、それに付いていけない人は落ちこぼれて貧苦に喘ぐ。指針も見えず、救いもなく、混沌とした時代の中で神の教えにどれほどの意味があるのか、それよりもパンを寄越せのフョードル論。 -
僧院の『薔薇の谷間』とフョードルの洞察力 田舎のオヤジは本当に道化なのか?(6)
父フョードルと長男ドミートリイの金の分配をめぐって一家で集うことになったカラマーゾフ家。高徳の僧ゾシマ長老に裁量を仰ぐ為、僧院に赴くが、さっそくフョードルの下卑た言動が始まる。ハチャメチャな未来を予感させる印象的な場面。 -
自分にも他人にも嘘をつけば真実が分からなくなる フョードルの実体とは?(7)
僧院でもふざけた態度を取り続けるフョードルに、ゾシマ長老は「自分自身に嘘をつけば、自分のうちにも周囲にも真実が見分けられなくなり、自分にも他人にも尊敬を抱けなくなる」と諭す。長老の洞察力とフョードルの真の姿が垣間見える場面。 -
幸福に必要な鈍感力・アリョーシャ ~鋭い知性はむしろ人間を不幸にする (4)
本作の主人公アリョーシャの生い立ち。次男イワンと決定的に違うのは、「それがひとつも苦にならないし、屈辱でもない」という点。一つ一つを「施し」「お情け」と感じ、自己卑下に陥ってしまったイワンの繊細な性格とはあまりに違う。
1