ドミートリィ– tax –
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『どうしてこんな人間が生きているんだ!』 なぜゾシマ長老は大地に頭を垂れたのか(11)
本作屈指の名場面。ドミートリイはなぜ「こんな人間が生きているんだ」と嘆き、ゾシマ長老は「お赦しくだされ」と彼に頭を下げたのか。その後の悲劇を示唆する内容で、非常にドラマティックな一幕の解説。 -
僧院の『薔薇の谷間』とフョードルの洞察力 田舎のオヤジは本当に道化なのか?(6)
父フョードルと長男ドミートリイの金の分配をめぐって一家で集うことになったカラマーゾフ家。高徳の僧ゾシマ長老に裁量を仰ぐ為、僧院に赴くが、さっそくフョードルの下卑た言動が始まる。ハチャメチャな未来を予感させる印象的な場面。 -
愛の欠乏と金銭への執着 ~父に捨てられた長男ドミートリイの屈折(2)
父親に厄介払いされた長男ドミートリイは幼少時からたらい回しにされ、金で周囲の歓心を買う、無節操な人間に育っていく。自分の父親が金持ちの小地主と知った途端、実際以上の資産を受け継げるものと勘違いし、金勘定に長けた父親が自分を騙そうとしていると逆上したところから悲劇が始まる。 -
子は永久に『子』~父親という人生の負債(5-2)
父親を殺したいほど憎んだとしても、親は親、子は親には永久に逆らえない。たとえ相手が強欲な淫蕩父でも、育児放棄するような親でも、子は生まれながらに十字架を背負わされたように、親を慕って生きていく。心底から否定などできるわけがない。それゆえに苦しむのである。 -
こんな男がなぜ生きているんだ! 淫蕩父と長男の修羅場《カラマーゾフ随想》原卓也訳(4)
神父さんたち、父親殺しの言うことをききましたかね? あれがあんたの『恥を知れ』に対する答えですよ! 本当にドミートリイが道理をわきまえない、ただの乱暴者であれば、恥は感じない。そしてゾシマ長老の一言「赦しておあげなさい。すべてを赦すことです」
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