アリョーシャ– tax –
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ドストエフスキーという作家の全てが凝縮した『カラマーゾフの兄弟』~作者より
ドストエフスキー最後の大作『カラマーゾフの兄弟』は主人公アレクセイ・カラマーゾフに詳しい”書き手”の回想録として始まる。「これが蛇足だという意見には、私もまったく同感だが、なにせもう書いてしまったものであるし、このまま残しておくことにしよう」の一文に長文体質ドストエフスキーの性情が感じられる。 -
ラチーキンは裏切り者のユダ? 嫉妬が悪意に変わる時(12)
アリョーシャの秘めた好色と生きる意欲の源泉、ラキーチンの野心とカラマーゾフ一族に対する屈折した感情が見え隠れするスリリングな場面。江川卓氏の解説を交えて、幻の後編に描かれたかもしれない皇帝暗殺計画についてコメント。 -
リアリストは自分が信じたいものを信じる ~アリョーシャの魅力と未来への伏線(5)
『リアリストにあっては、奇跡から信仰が生まれるのではなく、信仰から奇跡が生まれるのだ』。自身の意思によって神の道に進むことを決めたアリョーシャは、高徳の長老ゾシマに多大な影響を受ける。純粋な信仰心は後の『大審問官』への伏線となり、無神論を乗り越える原動力となる。 -
幸福に必要な鈍感力・アリョーシャ ~鋭い知性はむしろ人間を不幸にする (4)
本作の主人公アリョーシャの生い立ち。次男イワンと決定的に違うのは、「それがひとつも苦にならないし、屈辱でもない」という点。一つ一つを「施し」「お情け」と感じ、自己卑下に陥ってしまったイワンの繊細な性格とはあまりに違う。
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