「強さ」とは「受け入れる力」のこと

「大人になる」ということ ~親もまた”人間”と気付く時~
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強くなりたいと願う人はたくさんいますが、本当の心の強さとは何でしょうか。折れない心、傷つかない心の根底にあるのは「受け入れる力」です。poserよりもacceptこそが人生の知恵です。

目次 🏃

「強さ」とは「受け入れる力」のこと

「気が強い」と「心が強い」は違いますし、「心が強ければ、傷つかない」というものでもありません。

人間関係で傷ついたり、物事に失敗すると、「もっと強くなりたい。強くなって、もう二度と傷ついたり、動揺したり、苦しみのない人生が送れるはず」と願うものですが、真の心の強さとは、『Power(力)』ではなく、『accept(受け入れる)』『take(引き受ける』に近いものです。「負けないこと」や「落ち込まないこと」の反対語ではありません。

堂々と意見を口にしたり、決して弱音を吐かないことが、強さの証しではないんですね。

それよりも、敏感で、上手くやれない自分自身を受け入れましょう。

「しくじることもある」と割り切ることで、自分に対しても、他人に対しても、許す余裕が生まれます。皆が皆、上手に立ち回り、スマートに生きているわけではないと分かれば、必要以上に自分を責めたり、ひねくれることもなくなります。

人に負けないことが「強さ」と思い込むと、あなたは強い人間でいる為に、常に誰かを打ち負かすようになります。傷つく前に他人を攻撃し、自分の美点を誇示して、決して周りに弱みを見せません。いつも格好を気にして、自分と同じようにおどおどした人間を見ると無性に腹が立ちます。

でも、それは気が強いだけで、本当の心の強さとは言えません。

心が強い人は、自分が他人の言動に敏感で、些細なことにもビクビクしてしまう自分を受け入れ、許しています、許しているから、他人の言葉に傷ついても、「自分の弱い一面」と割り切ることができるし、同じように傷つきやすい人に対しても優しい気持ちになれるんですね。

強さとは、アメーバみたいに柔らかいものです。

何でもまるっと呑み込み、消化するだけでなく、どんな形にもするりと自分を変えて、水中でも、土の隙間でも、生きて行くことができます。

あれもいや、これも許せない、だから負けられない、という気の強さは、尖った釘と同じ。何度も叩かれると、いつかポキリと根元から折れてしまうのです。

受け入れる力とは

心の強さとは、自分にとって都合の悪いことも「受け入れる力」でもあります。

自分自身はもちろん、周囲の人間、現在の立ち位置、恋愛、仕事、人間関係、全てにおけるイヤなこと、認めたくないこと、価値観の違うこと、モロモロのマイナス要因も人生の現実として受け入れ、噛み砕いてゆけるのが、本当の心の強さです。

たとえば、職場の人にイヤなことを言われて傷ついた。いつもビクビク、おどおどしている自分を変えたい。強くなりたい──。

そんな時、相手に「そんなこと言わないで!」と反論すれば、あなたは強い人間になれるでしょうか。

相手より仕事で抜き出て、周囲にも称賛されるような人間になれば、望む強さを手に入れられるでしょうか。

恐らく「強くなったような気がする」だけで、本質的なものは変わらないと思います。

たとえ相手を言い負かし、皆が仰ぎ見るような地位を手に入れたところで、あなたは自分の脆さや繊細さを恐れ続け、むしろそれを認めまいとして、ますます根っこのグラグラした人間になってしまうのではないでしょうか。

それよりも、人の言葉に過敏に反応してしまう自分自身を受け入れましょう。

「こんなことでビクビクするようではいけない。もっと堂々とした強い人間になるべきだ」という思い込みを捨てましょう。

ビクビクするからダメ、ではなく、「私にはこういう事でビクビクする部分がある。そして、こういう性質は、多分、一生変わらない。だったら、私のビクビクと仲良く付き合おう。どうしてこういう事でビクビクするのか、ちょっと考えてみよう」と、自分の弱い部分とタッグを組むわけですね。

ビクビクするのはダメと思い込んでいると、ビクビクする度に自分が嫌いになり、それを攻撃する人間を憎み、世の中みんなが自分のビクビクを嘲笑っているような気分になるでしょう。

でも、ビクビクする部分も自分という人間の一部分なんだ、ビクビクすることが悪いんじゃなくて、それを否定する気持ちが間違いなんだ、と考えれば、ちょっと違ってきます。

ビクビクちゃんにはビクビクちゃんの生き方があり、幸せがある。

ビクビクちゃんにはビクビクちゃんに適った人がいて、そういう相手を探せばいい。

と、気持ちを切り替えれば、たとえ相手に対して強い態度に出られなくても、自分自身に対して気持ちがラクになるのではないかと思います。

「ビクビクするのはダメだ、ビクビクする自分に気付かれたくない、知られたらもっとイジメられる」と思い込んでいると、かえって周囲に対して攻撃的になったり、過剰なガンバリズムに走ることがあります。

そして、世間では、それを「気の強い人」と言います。

「気の強い人」は自分が負かされる前に相手を負かそうとするので、自分も周囲も疲れてしまうのです。

人が「強くなりたい」と願う時、自分を傷つけたり、苦しめたりするものから心を防御し、相手よりパワーで優位に立ちたいと思い描いていることが少なくありません。

でも、本当の強さは、自分を傷つけるものにさえ寛容で、自分自身を恐れないものです。

イヤなことでも、認めたくないことでも、受け入れられる器が大きいほど、心の安定感は確かなものになってゆくのです。

誰かにこっそり教えたい 👂

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詳しくは『自立したい子供 VS 自立させたくない親』をご参照下さい。

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この記事を書いた人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。アニメから古典文学まで幅広く親しむ雑色系。科学と文芸が融合した新感覚のSF小説を手がけています。看護師として医療機関に勤務後、東欧在住。石田朋子。amazonの著者ページ https://amzn.to/3btlNeX

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