その大学、借金して行く価値がありますか? 返済する能力はありますか?

お金が尽きれば、旅も終わる
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何百万もの奨学金を借りても、大学に進学せねば……と考える人は、「大学に行かなかったら、生涯年収に大きな差がつく」という言説に怯えているかもしれませんが、それもまた漠然とした話で、個人の運・能力・スキルによる差の方がはるかに大きいです。

大手メーカーやマスコミなど、有名企業に入職するには大卒の資格が不可欠かもしれませんが、大手に行ける学生の数など知れていますし、せっかく就職しても、激務や人間関係のストレスで病気になったり、リストラされて惨めな最後を迎えれば、かえって華々しい経歴が再出発の足かせになるかもしれません。

また、高い地位を得て、高収入の人が、必ずしも人に愛されるとは限らないし、どんな一流企業も、退職すれば、それまでです。

年取った時、「肩書きの外れたタダのおじさん」になって、行く先々で嫌われるのと、60代、70代になっても、専門分野で重宝されて、後進の指導や孫の世話で忙しい年寄りと、どちらがいいか。

「大学に行った方が就職に有利」というなら、なぜ、日本の多くの若者が手取り20万円にも届かない待遇で、将来に何の希望ももてず、心を病んで、死んでいくのか。

本当に就職に有利で、大学に行けば、好待遇の良質な会社に就職できるなら、今の20代~30代の半数以上は、「自分の境遇に満足して、長い青春時代を謳歌しているはずでしょう。

でも、現実はそうじゃない。

大学進学が、必ずしも、幸せのパスポートになってない……という証しです。

にもかかわらず、なぜ周りの大人は「大学に行け」と言うのか。

一番大きな理由は、そう言っている大人自身が大卒で、大卒以外の生き方を知らないからです。

私みたいに、大学に行かなかったけど、最終的には正看護師の資格を取得して、海外移住するまでは、日本で悠々自適の暮らしをしていた人間に言わせれば、大学進学が全てではないし、まずは数年働いて、独立資金を貯めてから、自分のやりたいことにチャレンジする生き方も有りだと思います。

一つの会社で30年以上勤め上げることが美徳とされた、終身雇用の時代と違って、今は副業・転職も当たり前ですし、働きながらスクールに通って、資格取得を目指す人もたくさんいます。

「どうしても、その大学で学びたいことがある」とか、「その仕事をするには、大学の専門課程を修了する必要がある」というならともかく、「皆が行くから、私も……」みたいな考えで、手頃な大学に進学したところで、他者と圧倒的な差がつくわけではないし、かえって余計な借金を抱え込み、人生がいっそう生きづらくなるだけです。

また、昭和のバブル期みたいに、新入社員でも夏冬のボーナスが100万円近かった時代なら、500万の奨学金も、20代のうちに返済できたでしょうが、手取りも300万円がやっとみたいな時代、生活費も払いながら、貯蓄もしながら、どうやって返済するのでしょう?

私も100万円ほど、日本育英会の奨学金を借りましたが、一年目のボーナスで完済できるほど景気もよかったし、寮生活で、ほとんどお金もかからなかったので、大した負担ではありませんでした。

また、そうした経済状態を見越した上での奨学金だったので、余裕をもって借りることができたのです。

でも、現状はどうでしょうか?

卒後の収入と生計(月々に必要な生活費と将来の蓄え、税金、保険など)について、リアルに計算したことがありますか?

就職予定の業界の平均年収を調べ、返済に十分な収入を得る確信がありますか?

まさか大学を出たら、無条件で大企業に就職して、正社員として一生雇ってもらえる……なんて、思ってないですよね?

奨学金の返済がネックになるのは、借りる前に、支出と収入のリアルな計算をしないからではないでしょうか。

今はネットを通して、業界の平均年収など、簡単に調べることができます。

SNSでも、実際にその業界で働いている人の、リアルな声を拾うことができます。

そうした情報も集めて、本当に自分で返せる額か、しっかり計算しましょう。

借金に関しては、楽観は禁物です。

「これぐらいなら、いいだろう」「働けば何とかなるだろう」で、人は破滅します。

返す当てもないのに、奨学金を借りるのは、分割払いや前払いで、どんどん買い物してしまうフリークと同じ。

300万、400万の、重い借金が、いつか背中にのしかかるようになります。

社会人にとって、一番苦しい借金は、「返せそうで、返せない」、数百万ぐらいの借金なんですね。

医学部みたいに、かなりの確率で高収入が期待できる分野ならともかく、卒後の進路もいまいちで、卒業生に聞いても、年収300万ぐらいの中堅会社にやっと就職できるかどうか、みたいな学部(大学)に進んで、数百万円の奨学金が数年で返済できると思いますか?

芸大みたいに、「この学校で好きな勉強ができるなら、一生後悔しない!!」みたいな気持ちで飛び込むなら別ですが、「大学に行った方が良さそうだから」みたいな、あやふやな理由で進学しても、いずれ数百万の借金に心を締め付けられて、何をやっても報われない、ずるずると泥沼に沈んでいくような気持ちになりますよ。

親世代は、社会全体に余裕があって、親の親の世代(おじいちゃん・おばあちゃん)も、裕福な高給取りが多かったから、後先を深く考えず、「おまえも大学に行った方がいい」と安易に進めますが、今の若い人たちが生きる未来は、良くて平行線、悪けりゃ、貧困です。

それを思えば、返す当てもない多額の借金をすることが、どれほど人生の負債になるか、お分かり頂けるのではないでしょうか。

そう言うと、「自分だけ大学に行けないのは不幸だ、不公平だ」と劣等感をもつ人もありますが、そんなものは、仕事が上手くいって(精神的に)、よき伴侶にも恵まれて、裕福とまではいかずとも、趣味やプチ旅行を楽しめる人生が手に入れば、きれいさっぱり忘れて、何の違いもないことに気付くと思います。

実際、自分の周りのいる大卒で、「さすが大卒」と唸るような優れた人間が、どれほどいますか?

その人たちは、誰もが羨むような生活をして、家族関係も最高ですか?

ぱっと見て、この人は大卒、この人は高卒と、違いが分かるほど、如実に差が現れているでしょうか。

現実は違うはずですよ。

人生は最後まで生きてみないと分からないにも書いているように、学歴で一生が決まるなんてことは、絶対にないですし、本当に人生の価値が決まるなら、世の中、もっと幸せな大人で溢れかえっているはずです。

そうじゃない、と言うことは、それが答えです。

無責任な煽りに流されることなく、現実の収支をしっかり見つめ、自分にとって本当に賢い選択をして下さい。

シリーズ記事

この記事は河合隼雄の心理学と精神的親殺しに関するシリーズ記事です。下記のタグも参考にどうぞ。
# 精神的親殺しについて  # 自立をめざす  # 高卒でも生きられる

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