映画– category –
『クソ映画にも五つ星の愛を』をモットーに古今の名作からB級映画まで、お気に入りの作品を紹介しています。
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優しさは真似できない ~永久不変の価値とは 宮崎駿の『風の谷のナウシカ』
宮崎駿の代表作『ナウシカ』はなぜ世界のスタンダードとなったのか。全編に漂う「やさしさ」から本作の魅力を読み解くコラム。 -
人間と猿の違いは『No』と言えること 『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』
人間を超える知能を持つに至った猿のシーザーは危険動物とみなされ、動物施設に収容される。飼育館から虐待されたシーザーは『No』と叫び、仲間を引き連れて脱走する。Noは尊い意思表示であり、人間関係を円滑にする魔法の言葉でもある。 -
すべての人に仕事を! 愛と政治のコメディ映画『デーヴ』
米国大統領のそっくりさんデイブは、愛人と情事の最中に腹上死した大統領の代役を務めるが、持ち前の人柄から国民の信望を一身に得るようになる。だが妻のエレンはデイブが偽物であることを見抜き、芝居も続けられなくなる。爽やかで心温まる良作。 -
どの国にも誇るべき歴史がある ノルウェー映画『ラスト・キング 王家の血を守りし勇者たち』
13世紀ノルウェーで偉大な王ホーコン3世が謀殺される。次期王位継承者である遺児を守るため、ノルウェー兵士(ビルケバイネル)の二人が雪原をスキーで滑走する。当時の暮らしが垣間見える、疾走感のあるアクション史劇。 -
戦時下の愛憎が埋まる 地雷の地 映画『ヒトラーの忘れもの』
デンマークの海岸に埋設された大量の地雷撤去を命じられたドイツの捕虜と少年兵。それを監督するデンマーク人のラスムスン軍曹の心情を描く良作。デンマークらしい、詩情あふれる海の風景が非常に美しい映画である。#1000文字 映画評 -
技術を共有すれば世界戦争は防げるのか? 映画『ジョーンの秘密』
ケンブリッジ大学で物理学を専攻していたジョーンは原子力開発の機密に携わるようになる。やがて研究が原爆に使われ、何十万人が命を落としたことを知ると、ジョーンの心に変化が訪れる。ジョーンの主張は正しいのか? #1000文字 映画評 -
獣性という名の悪魔 映画『蠅の王』(1990年)
無人島に不時着した少年たちが次第に人間性を失い、逆らう者を襲撃するようになる。現代文明との対比が素晴らしい。大人不在の子供社会の問題を如実に描く衝撃の映画。#1000文字 映画評 -
現代の魔女狩りとキャンセルカルチャー 映画『アダムス・ファミリー 1 & 2』(1991年~1993年)
ブラックユーモアとゴシックホラーが融合したコメディで一世を風靡した映画『アダムス・ファミリー』も、キャンセルカルチャーの嵐が吹き荒れる現代にはとても放映できないというコラム。#1000文字 映画評 -
生みの母か、育ての母か。親子の絆を描いた TVドラマ『カミヤ・モブリー 私の母は誘拐犯』
少女アレックスは大家族で幸せに暮らしていたが、16歳になったある日、最愛の母グロリアから、「お前は誘拐して育てた子」と打ち明けられる。不安になったアレックスがネットの情報を頼りに生みの母に連絡を取ったことがきっかけで、警察が動き出し、家族の幸福に終止符が打たれる。 -
男女平等より、愛が大事 冴えないジャーナリストと大統領候補のロマンスを描く 映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』
容姿も仕事も冴えない独身ジャーナリストのフレッドは、国務長官で次期大統領候補でもあるシャーロットと恋に落ちる。格差恋愛は選挙戦でも問題となり、二人は別れを余儀なくされるが……次代の恋と男女平等の在り方を軽妙に描いたラブコメディ。 -
マイノリティに未来はあるのか 映画『グレイテスト・ショーマン』が描くノーマライゼーションの精神
異形、有色、障がい者など、社会的マイノリティにスポットライトを当て、一流の興行師を目指すバーナムと家族の葛藤を描いた新感覚のミュージカル。好奇と蔑みの眼差しの中、『This is Me(これが私)』と熱唱する場面は圧巻。 -
才能や個性は本当に人を幸せにするのか 自制と自覚を説く 映画『アナと雪の女王』
エルザの魔法は『才能』『個性』と置き換えると分かりやすい。個性のままに生きることは、周りと齟齬を起こす。エルザは自分自身をコントロールする術を見出し、周りと調和を図ることに成功した。自制と自覚の重要性を説く秀作。