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『クソ映画にも五つ星の愛を』をモットーに古今の名作からB級映画まで、お気に入りの作品を紹介しています。
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いかに戦い、いかに終るか ~良い負け方が明日の道を開く 映画『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』
氷の男ビヨン・ボルグが前人未踏のウィンブルドン5連覇に挑む。強敵はテニス界の悪童、ジョン・マッケンロー。二人の対決は連続タイブレークにもつれこみ、22分間の死闘を繰り広げる。凄まじいまでのプレッシャーの中、ボルグを懸命に支えるコーチの指導が素晴らしい。 -
スネーク・プリスキンにカルトな愛を捧ぐ ~映画『ニューヨーク1997』(ジョン・カーペンター)
1980年代に製作され、今なおカルトな人気を誇る『ニューヨーク1997』。「スネークと呼べ」が決め台詞の犯罪の帝王を演じたのはジョン・カーペンター監督に見出されたカート・ラッセル。現代のアクション大作のような派手さはないが、手作り感覚のセットや音楽が味わい深く、反権力のアンチヒーローのどんでん返しもエッジが効いている。やさぐれた海賊みたいな魅力満開の傑作。 -
死刑制度は本当に遺族と社会を救うのか ~映画『デッドマン・ウォーキング』
死刑囚の精神的アドバイザーを務めるシスター・ヘレンは、死刑宣告されたマシューと面会するうち、死刑が本当に解決策なのか疑問を抱くようになる。一方、我が子を殺された遺族は激しい憎悪をつのらせ、死刑にすべきとの態度を崩さない。死刑囚と遺族感情の間でヘレンは苦悩しながらも、最後までマシューに寄り添うことを決意する。 -
ネットで話題になっても真のヒット作に成り得ない訳(映画・動画編)
作り手が、身内の評価や、機械的に現れる数値や、ネット上でやり取りされる一部の評判だけを見て、「ウケてる!」と思い込むのはあまりに単純。いずれ『映画』そのものが飽きられ、自分が主演の『ヴァーチャルビデオ』が主流になるかもしれない。 -
美輪明宏の『愛の讃歌 ~エディット・ピアフ物語』/ エディットに捧げる詩『小さな雀』
【美輪明宏の『愛の讃歌 ~エディット・ピアフ物語』について】 舞台『愛の讃歌 ~エディット・ピアフ物語』は、寺山修司・原作『毛皮のマリー』や江戸川乱歩・原作『黒蜥蜴』に並ぶ、美輪明宏の代表作です。 私も2000年6月の大阪公演を観劇し、非常に感... -
何を信じ、どう貫くか リュック・ベンソンの映画『ジャンヌダルク』と正しい信仰心
『現代は信じられるものがない。だから何かを信じぬいた少女を描きたかった』とリュック・ベンソン監督。聖女ジャンヌ・ダルクは本当に神の声を聞いたのか。思い込みの激しい少女、それは傲慢であるという斬新な解釈のもと、劇的に描く歴史スペクタクル。 -
上質な大人のラブロマンス ジェイソン・ステイサムの『ハミングバード』
ジェイソン・ステイサムが照れ屋の中学生みたいにポーランド系シスターと可憐な恋を演じる異色のハードアクション。筋肉マッチョながら初めてのキスは純愛全開。心に残る美しいラブストーリー。原題の『償い』に関するコラムと併せて。 -
人生とは霧の中を走るが如く 映画『ミスト』(スティーヴン・キング原作)
霧の中に奇怪な生物が現れ、人々が襲われる。スーパーに閉じ込められたデヴィッドとビリーは必死で逃走を図るが、一人また一人と命を落とす。疑心暗鬼に陥る人々の心理面にフォーカスした恐怖ドラマ。不条理なエンディングは映画史に残る衝撃である。コラム『人生とは霧の中を走るが如く』と併せて。 -
ヤクザは人間ではない 角川映画『キャバレー』とサックスの名曲「レフトアローン」
ミュージシャンが指を切り落とされて「ひどい、あんた人間じゃない(野村宏伸)」「オレはヤクザなんだよ(鹿賀丈史)」でお馴染みの80年代角川映画のヒット作。マリーンの歌うジャズの名曲『レフトアローン』も印象的で、曲だけ憶えている人も多いはず。果てして実際のやくざはどうなのか。親分さんの思い出から綴る。 -
愛なき評論はアーティストを殺す ~淀川長治氏の映画解説より~
「どんな作品でも、必ず一つは褒めるところがある。その良い所を見つけ出すのが評論家の仕事」 -
サイキック少女と毒親の破滅を描く 映画『キャリー』(原作スティーブン・キング)
狂信的な母親に支配される娘の悲劇を描いたホラー仕立ての青春ドラマ。心優しいキャリーは学校で酷いイジメに遭いながらも幸せを夢見てプロムに参加する。だが彼女を妬む級友の仕業で血みどろに。キャリーの怒りが爆発し、プロム会場は地獄絵と化す。 -
美しい男たちのスリリングな愛を描く映画『戦場のメリークリスマス』 贖罪と反戦の挽歌
第二次大戦下、ジャワ島の日本軍捕虜収容所で、日本語を理解する英国陸軍中佐ジョン・ロレンス(トム・コンティ)は、捕虜たちを監督するハラ軍曹(ビートたけし)といつしか心を通わせるようになる。一方、厳格で、名誉と武士道を重んじる収容所の所長、ヨノイ大尉(坂本龍一)は、新たな捕虜となったジャック・セリアズの美しさと真っ直ぐな気性に次第に魅了されていく.