荒井由実『雨の街を』 ~ 誰かやさしく肩を抱いてくれる人に出会ったら

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記事について

「誰かやさしくわたしの肩を抱いてくれたら どこまでも遠いところへ 歩いてゆけそう」荒井由美の代表曲『雨の街を』とモチーフにしたイメージポエムです。

目次 🏃

『雨の街を』 ~誰かやさしく肩を抱いてくれる人に出会ったら

一人ぼっちの不安

社会がどれほど発達して、女性が権利や自由を得たとしても、きっと永遠に変わらないものがある。

それは「女のコの気持ち」だ。

荒井由実の代表曲『雨の街を』には、こんなフレーズがある。

誰かやさしくわたしの肩を抱いてくれたら
どこまでも遠いところへ 歩いてゆけそう

「女のコの気持ち」は、ほんと、この一言に尽きる。

突っ撥ねたり、意気がったり、精一杯、自分を主張して見せるけど、心の奥底ではいつも不安に震えている。

このまま誰にも愛されなかったらどうしよう。

一生、一人で終ったらどうしよう。

美貌も、才能も、確かな何かを約束してくれるわけじゃない。

本当に欲しいのは、誰かの限りない愛。

どんな時も、自分のことを分かってくれて、やさしく見守ってくれる人があるならば、どこまでも遠くに歩いて行けるのだけど……。

居場所のない女たち

宮尾登美子『天璋院篤姫』~与えられた運命の中で生き抜くでも書いているが、女性というのは、オギャアと生まれた瞬間から、本当の意味で「自分の居場所」というのは無いものだ。

独身時代は「いつお嫁に行くの?」と無言の圧力をかけられ、結婚すれば、「嫁」と呼ばれる。

年を取り、うるさい姑からやっと解放されたと思ったら、成長した子供には疎まれ、「別々に暮らそう」と絶縁状を突きつけられる。

女、三界に家なし』というが、本当にその通りだろう。

結婚しようと、しよまいと、生まれた家でずっと暮らすことが許される男性には、女性の不安は決して理解できないだろう。

愛よりも『力』を欲しがる時

現代の女性が、自分の居場所をもっと確かにする為に、愛よりも『力』を欲しがるのは当然だ。

お金。地位。安定した仕事。名声。

愛は裏切られることもあるけれど、自分で得た仕事や学歴は決して努力を裏切らない。

「誰かにやさしく肩を抱いて欲しい」と望む一方で、そこに人生を懸けたくない気持ちは、現代の女性なら、誰しも同じではないだろうか。

それでも女性であることは止められない

だからといって、女性が『女性であること』を止めることは出来ない。

女性であることは、時に、男が男であり続けることより難しい。

女性は、「人間』と『女性』、二つの人生を同時に生きねばならないからだ。

そのDNAには、何十億年と受け継がれてきた生命複製の遺伝子が組み込まれ、地上で最も強い本能に支えられている。

女性がMANではなく、W=オッパイと、O=子宮をもったWOMANと呼ばれる所以である。(男性より役割が二つ多い)

自分を女のコの気持ちに委ねる

だから、時には、自然な「女のコの気持ち」に自分を委ねることが大切だ。

意地を張ったり、突っ撥ねるのではなく、ココロと体の空白に正直になる。

それは決して敗北ではないし、頭であれこれ考えるより、ずっと強くてナチュラルな生き方だ。

ユーミンの『雨の街を』は、そんな女のコの不安な気持ちをやさしく受け止めてくれる。

淋しさを口にしたり、愛を求めることは、決して恥ずかしいことでじゃないと教えてくれる。

だって、私たちは、自分の住処さえ持てない「女」じゃないか。

不安に思うのは当然だと。

*

そうして、いつか、やさしく肩を抱いてくれる人に出会ったら、一人で淋しかった夜のことを話したい。

どれほど不安な気持ちで生きてきたか。

どれほど遠い道程だったか。

それが夢でも、夢見ていたい。

一人で生きていくには、この世はあまりに重いから。

荒井由実『雨の街を』について

『雨の街を』は、ユーミンのデビューアルバム『ひこうき雲』に収録されています。

1973年にリリースされ、バック・バンドは、未来の夫となる松任谷正隆氏をはじめ、YMOの細野晴臣、はっぴいえんどの鈴木茂、ドラマーで音楽プロデューサーの林立夫氏など、レジェンド級のミュージシャンが名を連ねています。

アルバム『ひこうき雲』は、アコースティックで、シンプルな作りながら、胸が痛くなるほどの映像美にあふれ、彼女の歌に自分の青春を重ね見る人も多いのではないでしょうか。

ほっとしたい時、優しい気持ちになりたい時に聞きたいアルバムです。

同時収録の『曇り空』に関するレビューはこちら。
荒井由実『曇り空』 ~誰かに心を惹かれても、背中を向けたくなることがある

初稿  2010年3月9日

誰かにこっそり教えたい 👂

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『嘘は人間を弱くする』SNSの時代、嘘はすぐにバレるし、身元を特定されるのも早いです。 元同僚。元彼氏。元従業員。 アカウントの数だけ、人の口も存在します。 どれほど表面を取り繕っても、嘘はすぐにバレます。 正直で損するより、嘘がばれた時のコストの方がはるかに高くつきます。

この記事を書いた人

作家・文芸愛好家。80年代サブカルチャーの大ファン。アニメから古典文学まで幅広く親しむ雑色系。科学と文芸が融合した新感覚のSF小説を手がけています。看護師として医療機関に勤務後、東欧在住。石田朋子。amazonの著者ページ https://amzn.to/3btlNeX

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自己肯定感を高めたければ、誰かの役に立つのが一番の近道です。 いきなり人の中に入るのが怖ければ、小さな鉢植えでいいので、大事に育ててみましょう。 自分みたいな人間でも必要とされていることが分かれば自尊心も高まり、自信に繋がります。
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